保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

談話「投票して民意を示そう」

公開日 2014年12月05日

須田 昭夫(東京保険医協会政策調査部長)

須田 昭夫(東京保険医協会政策調査部長)

11月16日投開票が実施された沖縄県知事選挙で自民党候補が大敗した。17日にはV字回復が公言された7~9月期のGDPが、前期比年率でマイナス1.6%に落ち込んでいたことを受けて、安倍晋三総理は18日衆議院を解散して12月14日に選挙を行うことを発表した。かねてから、支持率が低下する前に選挙をすることを決めていたのだ。9月に解散説が流れたこともある。

選挙によって時間を稼いで追及をかわし、選挙後には、安倍政権の政策が承認されたと強弁するつもりだろう。国民が納得して承認したものは、近ごろ何もないように思う。

独断、へ理屈、はぐらかし、海外逃避ばかりで議論から逃げ回っておいて、記者会見では「この道しかない」とすごむのは、「万機公論によって決すべし」の原則に反しており、国民主権を無視すること、甚だしい。

消費税10%への増税を、来年10月から2017年4月に延期するというが、経済情勢を勘案する「景気弾力条項」をはずして、今回中止したことを1年半後には断行するとしている。そもそも消費税は、輸出奨励金、多国籍企業の取り引きからの徴税という効果があるが、生活費にも一律に課税してしまう日本型の消費税は、所得の低い人ほど負担感が大きく、「消費税の逆進性」と呼ばれる現象がある。さらに、最低限度の生活費からは徴税しないという、人権尊重の原則にも違反している。

大企業が成長すればやがて庶民にも恩恵が回ってくるという「滴り落ち理論」が実証されたことはないと、ローマ法王も語っている。資本が利益を生む社会では、資本を持つ者がますます豊かになり、格差が拡大する。格差の拡大を緩和するために、豊かでない人を保護するのが政治の役割だ。

不道徳でない範囲で、富める者から徴税し、富の再配分を行うことが必要だ。所得の少ない人の生活費から徴税し、社会保障の削減まで行って大企業につぎ込むのは道徳に反している。

安倍政権が進める原発再稼働、特別秘密保護法、集団的自衛権、労働規制外し、医療介護総合法などの政策は、閣議決定だけのものまであり、国民に対する説明や国会審議が、きわめて不十分だ。

安倍政権は「暴走政権」とか「アクセルばかりでブレーキがない、ハンドルは右にしか回らない」と嘆かれている。与党は国民の代表としての自覚を持って、法案の説明義務を果たしてほしい。国民の意思を問う気持ちがほんとうにあるならば、増税に否定的な世論調査の結果をみるべきだろう。

自民党は選挙の争点を増税延期一つだけに絞り、重要なテーマを隠して、国民の関心を遠ざける戦術とみえる。しかし700億円もの血税を使って行われる年末選挙を、無駄にしてはならない。民主主義社会は選挙の上に成り立っている。

選挙は国民の意思を示す最大のチャンスです。棄権したり、ネギやワインで売り渡してはならない。「たった1票」と言わずに投票しましょう。1票の積み重ねが大きな仕事をします。千里の道も一歩からです。安倍さんだって、1票なのですから。

(『東京保険医新聞』2014年12月5・15日合併号掲載)