保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

都知事選挙 7月31日投票 国政が生み出した矛盾と困難の解消も課題

公開日 2016年07月25日

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 7月31日投開票の東京都知事選挙がはじまった。徹底的な論戦を期待したい。

 東京都の2016年度一般会計予算は7兆円を超え、豊かな財政基盤を誇っている。「社会保障の財源がない」の言い訳は通用しない。
 東京オリンピック・パラリンピックを口実にした新施設建設・道路・鉄道・駅再開発等の大型開発予算、不要不急の公共事業を見直すなど、税金の使い方を変えれば、社会保障の充実と都民の生活を支える都政の実現は可能だ。舛添前都知事の「政治とカネ」問題に端を発した今回の選挙で、大胆な変革を求めたい。

 東京保険医協会が実施した「2015年受診実態調査」には758件の回答が寄せられた。「この半年間に、患者の経済的理由による治療中断があったか?」との問いに290件(38.3%)が「あった」と回答した。また、「75歳以上の患者窓口負担の2割への引き上げについて、患者への影響はあるか?」との問いには550件(72.8%)が「受診抑制につながる」と回答した。患者負担はすでに限界を超え、国民皆保険制度のもとで、医療へアクセスする権利が奪われている現状に強い危機感を覚える。

 安倍政権のもとで貧困と格差が全世代で広がっている。子どもと高齢者の貧困は社会問題となり、「老人漂流社会」という言葉まで生み出した。国政がもたらした矛盾と困難をどのように解消するのかも問われる選挙だ。

 例えば、東京都では5世帯に1世帯が国民健康保険料を滞納している。2017年度までに実施される国保の広域化により、財政運営の責任を担う保険者は東京都となる。東京都が財源を投入すれば、高すぎる国保料の引き下げを実現できる。首都東京から「政治は変えられる」というメッセージを全国に発信してもらいたい。

 先の参議院選挙で問われた社会保障、TPP、アベノミクス、改憲、安保法、原発再稼働等の重大な争点に対して、各候補者がどのような政治姿勢を示すのかも注目だ。

 都政に国政の問題を持ち込むなとの意見があるが、都民の生活は政治と密接に結びついている。社会保障費は年額5,000億円削減され、患者負担増計画が次々と実施されているなかで、国が進める社会保障の改悪に「NO!」と言えない都知事では、都民の「安心して医療・介護にかかりたい」という願いに応えることはできない。

 東京新聞が実施した世論調査では(7/6朝刊で報道)、新都知事に期待する施策として「教育、保育、子育て支援」が52.2%でトップ、「医療・福祉」が47.2%で続いた。都民の社会保障の充実を求める声は切実さを増している。

 都政が果たすべき第一の役割は、地方自治法で定められた「住民の福祉の増進を図ること」(第1条の2)である。都民の命と健康を支える地域医療の担い手として、わたしたちの意思を選挙で示そう。

(『東京保険医新聞』2016年7月25日号掲載)