公開日 2017年01月25日
2017年度予算案は社会保障費を1,400億円圧縮するなど、絶え間のない社会保障攻撃が続いている。昨年末に経済財政諮問会議が発表した「2016改定版 経済・財政再生計画工程表」(「工程表」)は、「社会保障制度を総合的に改悪する政府全体の進行表」だ。2016年度から2018年度を「集中改革期間」としており、その中間年である2017年度の主な改悪計画は下表の通り。
2017年8月から | 2018年8月から | ||||
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収入 | 外来のみ (個人単位) |
外来+入院 (世帯合算) |
外来のみ (個人単位) |
外来+入院 (世帯合算) |
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現役 |
1,160万円以上 (28万人) |
5万7,600円 | 80,100円 + (医療費-26万7,000円)×1% <4万4,400円> |
25万2,600円+ (医療費-84万2,000円)×1% <14万100円> |
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770万円~1,160万円 (18万円) |
16万7,400円+ (医療費-55万8,000円)×1% <4万4,400円> |
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370万円~770万円 (118万人) |
8万100円+ (医療費-26万7,000円)×1% <4万4,400円> |
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一般 | 155万円~370万円 (1,243万人) |
1万4,000円 14.4万円上限/年 |
5万7,600円 <4万4,400円> |
1万8,000円 14.4万円上限/年 |
5万7,600円 <4万4,400円> |
住民税 非課税 |
Ⅱ:468万人 |
据え置き 注)< >内は多数回該当の場合 |
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Ⅰ:349万人 |
70歳以上の高額療養費の上限額引き上げ、後期高齢者の保険料特例軽減の廃止、療養病床に入院する65歳以上の居住費負担の拡大、現役所得並み介護利用者負担の2割から3割への引き上げなど、高齢者を狙い撃ちにした社会保障制度改悪の連続である。
高額療養費制度では収入区分「一般」の場合、負担上限額12,000円が、今年の8月から14,000円、さらに2018年8月には18,000円と段階的に引き上がる。
収入区分 | 外来のみ (個人単位) |
外来+入院 (世帯合算) |
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現役並み所得者 |
健保:標準報酬 国保・後期高齢・課税所得 |
4万4,400円 | 8万100円+(医療費-26万7,000円)×1% <4万4,400円> |
一般 |
健保:標準報酬月額 国保・後期高齢・課税所得 |
1万2,000円 | 4万4,400円 |
住民税非課税 | Ⅱ | 8,000円 | 2万4,600円 |
Ⅰ | 1万5,000円 |
療養病床では、65歳以上で医療区分Ⅰの居住費320円/日が今年の10月から370円/日となり、食費と合わせ52,500円/月の負担となる。
65歳以上医療療養病床 | 現状 | 2017年10月から | 2018年4月から |
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医療区分Ⅰ | 320円/日 | 370円/日 | 370円/日 |
医療区分Ⅱ・Ⅲ ┌─────────────── │ 難病患者 |
0円/日 | 200円/日 | |
0円/日 | 0円/日 |
さらに深刻なのは、居住費負担がなかった医療区分Ⅱ、Ⅲの患者にも200円/日、2018年4月からは370円/日と、月額1万円を超える負担が新たに課せられることだ。負担増を理由に退院を余儀なくさせられるなどの影響が危惧される。
後期高齢者の保険料軽減特例の廃止では、元扶養家族に対する9割の特例軽減がなくなれば保険料負担が10倍になる例も出ている。
社会保障の給付削減・負担増は、「貧困・格差」に拍車をかけ、国民との矛盾を拡大させている。患者・国民と共にこのような暴挙を止めさせなければならない。
2017年の社会保障改悪計画
(「2016改定版 経済・財政再生計画工程表」(2016/12/21)から作成)
2017年1月の通常国会へ提出する法案 |
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現役所得並み介護利用者負担を2割から3割へ引き上げ(18年8月から) |
介護保険利用料を原則2割負担に引き上げ(18年8月から) ※法案提出は見送り |
介護保険料に「総報酬割」を導入(17年8月分から段階的に実施) |
介護療養病床廃止による新施設類型の創設 |
2017年度に実施 |
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4月 後期高齢者の保険料軽減特例措置廃止(段階的に実施) |
8月 高額療養費制度の引き上げ(段階的に実施) |
8月 高額介護サービス費の引き上げ |
8月 介護保険料に「総報酬割」を導入 |
10月 医療療養病床の65歳以上 に光熱水費の負担(段階的に引き上げ) |
2017年度中に結論する |
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生活保護受給者の後発医薬品の使用割合(2017年度央までに75%) |
先発医薬品価格と後発医薬品価格の差額を徴収(2017年度央に結論) |
生活習慣病治療薬等の処方ルールを設定 |
診療報酬の特例(都道府県単位で設定)の活用方策を検討 (年内度に結論し、必要な措置を講ずる) |
2018年診療報酬・介護報酬同時改定で対応する |
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7対1入院基本料を算定する病床数の縮小 |
病床数の地域差是正、医療療養病床の入院患者の重症度を適切に評価 |
市販品類似薬の保険給付外しを推進 |
生活援助を中心とした訪問介護の要件緩和と報酬引き下げ |
通所介護の給付の適正化 |
福祉用具貸与の見直し |
(『東京保険医新聞』2017年1月25日号掲載)