患者トラブル対策を学ぶ 試行錯誤の積み重ね(足立)

公開日 2017年01月25日

161205足立支部例会

 協会・足立支部は、12月6日に北千住マルイ内の会議室で支部例会を開催し、会員・スタッフ25人が参加した。

 「窓口トラブル対策―協会に寄せられた事例に学ぶ」をテーマに、事務局が(1)医師の応招義務、(2)患者等から診断書の書き換え要求、(3)有資格者の業務範囲、(4)窓口での保険証の紛失・返却トラブルを中心に解説があった。さらに年末調整事務が迫ることからマイナンバー管理の注意点にもふれた。

 質疑応答では、「保険証を持参せず受診した患者が、後日窓口で清算を求めてきた場合はどこまで応じるべきか?」や「初診の生活保護患者が強引に薬の処方を要求した場合に良い対処法はないか?」「未成年の患者が一人で受診した場合はどのような対応が良いか?」など、実際の日常診療で苦慮する事例が多く挙げられた。事務局からの回答に加え、参加者からも自身の医療機関での工夫や対応方法についても紹介があり、活発な意見交換が行われた。

 関連して、足立区にある柳原病院の非常勤医師が、手術直後の患者に対する“準強制わいせつ”の疑いで逮捕され、とりわけ長期間にわたり勾留されていた問題について話題が及んだ。

 参加者からは「女性患者に対する診察や検査・処置等を行う場合は、可能であれば女性医師が対応するよう心がけている」や、「やむを得ず男性医師しか対応できない場合は、少なくとも女性の看護師や職員を同席させている」など、患者への配慮と慎重な対応をとることが必要だとの意見が出た。

 加えて痴漢冤罪を例に、患者の主張ばかりが強調されて報道されるメディアの姿勢についても疑問の声が出された。地域の医師・医療機関にとってトラブル対策に特効薬はなく、過去のトラブル事例を学びながら一つひとつ対策を積み重ねていくほかない、との感想も聞かれた。

 最後に、「今後も協会には会員からの相談事例を集積して、支部例会等で紹介する取り組みを続けてほしい」と要望があり閉会した。

(『東京保険医新聞』2017年1月25日号掲載)