公開日 2017年03月15日
サルビア会・就労環境部長 成瀬 清子
東日本大震災から6年が経ちました。道路等のインフラ面の整備はかなり整ってきたように見受けられ、被災地ですら一部では震災が忘れ去られようとしているとのことです。しかし、個々の暮らしに目を向けると、様々な面で元の生活に戻れていない被災者がたくさんおられます。特に、現在もまだ2,500人を超す方々が行方不明です。気持ちに区切りをつけることさえかなわない残されたご家族の方々の苦悩は測りしれません。震災被害は綿々と続いていることを忘れてはなりません。
福島の現状はとりわけ深刻です。オリンピックの誘致の際には、「放射能は完全にコントロールされている」と公言された福島原発は廃炉の見通しが立たず、周辺の土地を含め、放射能の影響がなくなるまでには、今後も気が遠くなるような費用と年月が費やされるのです。このような原発の怖さを目の当たりにしているのに、原発なしでは日本の電力は賄えないと、原発はさらに進められようとしています。震災直後には節電に励んだ私たちも、当時の危機感を失っています。本当に必要なものは何なのか、今一度考える必要があります。天災・人災は思わぬ形でやってきます。想定外を想定して可能な限りの備えをしなくてはなりません。
サルビア会・就労環境部では今年も11月3日に、市民講座「3・11を忘れずに向き合っていくために」を開催します。会員の皆様もぜひご参加ください。
(『東京保険医新聞』2017年3月15日号掲載)