医療機関の未収金増大 発生させないことが重要(城南)

公開日 2017年03月22日

170303_城南支部総会

 城南支部は3月3日に総会を開催し、会員ら16人が参加した。当日は権守光夫支部長の司会で進行し、はじめに2016年度の支部概況報告および2017年度の活動目標を提案し全員で確認した。

 次に宮澤潤弁護士(宮澤潤法律事務所)が、未収金と警察からの照会への対応について解説した後、質疑に移った。

 宮澤弁護士は、医療機関の未収金は増大していると指摘した。しかし医師は応召義務を課せられており、1949年に出された治療費の不払いを理由に診療を直ちに拒むことはできないという医務局長通知があることから、不払いを理由に医師が診療を拒むことが現実的には難しいとされている。

 そのうえで、「未収金の回収は困難が多く、未収金を発生させないことが重要である。正当な理由なく診療を拒んで患者に損害が発生した場合、損害賠償義務や行政処分(医業停止等)の恐れはある。問題は正当な理由があるかだが、資力があるのに敢えて支払わない患者について、重篤で緊急の対応を要さなければ診療を拒絶することも是認されるという解釈はあり得る」と続けた。 

 また、「個人情報保護の基礎であるプライバシー権とは、自己に関する情報をコントロールしうる権利である。警察等からの照会については、その情報提供が患者の予測範囲内であれば患者のコントロール下にあり、プライバシーが保護されていることになる。警察とのやりとりも増加しているが、医療機関として患者のプライバシーを尊重する対応を心がけたい」とまとめた。

(『東京保険医新聞』2017年3月25日号掲載)