公開日 2017年04月13日
外来迅速検体検査加算(以下「迅速加算」1項目につき10点)は、検体検査を実施した場合、表1の「厚生労働大臣の定める検体検査(迅速加算対象検査)」については、当日中に算定対象検査すべての結果が判明し、患者にその結果を文書で説明するとともに、結果に基づく診療が行われた場合に1日につき5項目を限度に算定する。対象検査について、同日内に結果が出るものと出ないものが混在する場合は、全ての対象項目について算定不可となる。なお同時に実施した算定対象外の検査の結果は「当日判明」また「後日判明」のいずれでも構わない(表2)。
インフルエンザウイルス抗原定性、アデノウイルス抗原定性は当日中に結果が判明するが、現在は算定対象検査に認められておらず、迅速加算が算定できない。主な算定対象外の検査は表3を参照されたい。
区分番号 | 検査項目 |
D000 | 尿中一般物質定性半定量検査(※院内で行った場合に算定) |
D002 | 尿沈渣(鏡検法※原則として院内で行った場合に算定) |
D003 | 糞便検査「7」糞便中ヘモグロビン |
D005 | 血液形態・機能検査 「1」赤血球沈降速度測定(ESR※院内で行った場合に算定)、「5」末梢血液一般検査 「9」ヘモグロビンA1c(HbA1c) |
D006 | 出血・凝固検査 「2」プロトロンビン時間(PT)、「11」フィブリン・フィブリノゲン分解産物(FDP)定性・半定量・定量、「20」Dダイマー |
D007 | 血液化学検査 「1」総ビリルビン、総蛋白、アルブミン、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、アルカリホスファターゼ(ALP)、コリンエステラーゼ(ChE)、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-GT)、中性脂肪、ナトリウム及びクロール、カリウム、カルシウム、グルコース、乳酸デヒドロゲナーゼ(LD)、クレアチンキナーゼ(CK)、 「3」HDL-コレステロール、総コレステロール、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、「4」LDL-コレステロール、「18」グリコアルブミン |
D008 | 内分泌学的検査 「9」甲状腺刺激ホルモン(TSH)、「15」遊離サイロキシン(FT4)、遊離トリヨードサイロニン(FT3) |
D009 | 腫瘍マーカー 「2」癌胎児性抗原(CEA)、「3」α-フェトプロテイン(AFP)、「6」前立腺特異抗原(PSA)、CA19-9 |
D015 | 血漿蛋白免疫学的検査 「1」C反応性蛋白(CRP) |
D017 | 排泄物、滲出物又は分泌物の細菌顕微鏡検査 「3」その他のもの |
表2
〔1〕時間外緊急院内検査加算を算定した場合、迅速加算は算定できない。
〔2〕説明文書の様式に定めはなく、検査結果がわかり、説明を行うのにふさわしい様式であればよい。
〔3〕算定対象外検査が混在する場合は、算定対象検査のみ、当日中に検査結果が判明すればよい。
〔4〕5項目以上算定要件を満たしても、5項目を限度に算定する。
〔5〕項目の数え方は検査の所定点数ごとになる。たとえば末梢血液一般は赤血球、白血球、血色素、ヘマトクリット、血小板を包括した所定点数で、赤血球等を1項目のみ実施しても、全部実施しても所定点数は21点で、1項目と数える。それに対し、アルブミン、クレアチニン、グルコース、総蛋白、尿酸等は「生化学Ⅰ」の包括対象の検査で多項目行った場合、実施した項目数によって規定される所定点数を算定するが、項目ごとに迅速加算を算定できる。
例:アルブミン、クレアチニン、グルコース、総蛋白、尿酸を実施し、全て当日中に結果が判明した場合
・アルブミン、クレアチニン、グルコース、総蛋白、尿酸 93×1
(※生化Ⅰ 5項目以上7項目以下の点数)
・外来迅速検体検査加算 10×5
〔6〕院内で実施した検査であっても、院外で実施した検査であっても、当日中に結果が判明して算定要件を満たせば、迅速加算が算定できる。
〔7〕グルコース(血糖定量検査)は算定対象になっているが、血糖試験紙法〔血中ケトン体・糖・クロール検査(試験紙法・アンプル法・固定化酵素電極によるもの)〕は対象外である(表3参照)。
D007 | 1 | 血糖試験紙法〔血中ケトン体・糖・クロール検査(試験紙法・アンプル法・固定化酵素電極によるもの)〕 |
D0012 | 20 | A群β溶連菌迅速試験定性 |
D0012 | 25 | インフルエンザウイルス抗原定性 |
D0012 | 26 | ノロウイルス抗原定性 マイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法) |
D0012 | 35 | アデノウイルス抗原定性(糞便を除く) |
注) 算定対象外の検査は当日中に結果が判明しても迅速加算は算定不可
(『東京保険医新聞』2017年4月5日号掲載)