医師が処方薬を把握できない 国の政策に翻弄される(葛飾)

公開日 2017年06月07日

170512_葛飾支部例会

 葛飾支部は5月12日、例会を開催し、会員ら10人が参加した。ジェネリックの処方に関する最近の話題として、製薬会社からオーソライズド・ジェネリック(以下AG)について説明を受けた。申偉秀協会理事から、ジェネリックに関する協会の取り組みや考え方について話題提供があった。

 先発品に用途特許が存在する場合、ジェネリックは効能・効果、用法・用量を変更されており、先発品と有効成分は同じでも、薬効に違いが出る可能性がある。

 その点、AGは先発品メーカーから特許などを得て発売されるため、先発品と同じ適応症で、同等の原薬、添加物、製造方法に基づいて安価で販売できる。

 しかし、ひとつの新薬に対して数十種のジェネリックが存在することもあり、どのジェネリックが良いのか判断が難しい。

 申理事は一般名処方加算について、「どの薬が処方されたのかを医師が把握できなくなる」と述べ、薬剤師による調剤で薬を決める内容だと指摘した。

 また、2012年の協会アンケートでは会員の約4割がジェネリックの効能に疑問があると答えており、ジェネリックは先発品と全く同じだとする厚労省の主張は間違いで、医療保険制度が国の医療費抑制政策の上で踊らされている現状を問題視した。

 そのほか、佐藤一樹理事から協会で行った医師法21条の理解に関するアンケート結果について解説を受けた。特に乳腺外科医裁判(柳原病院事件)では、検察側から証拠がいまだに公表されない現状が報告された。参加者から「眼科では照明を落とす場面も多く、必ずスタッフが視界に入る場所で待機している」との声が寄せられた。

 さらに、松永貞一先生が里帰り分娩先での定期予防接種費用が自己負担となる自治体があることを紹介するなど、参加者から寄せられた多くの話題について活発に議論された。

 最後に減点についても悩みが寄せられ、「困ったときはぜひ協会にご相談いただきたい。必要があれば再審査請求を行ってほしい」と呼びかけがあり閉会した。

(『東京保険医新聞』2017年6月5日号掲載)