公開日 2016年07月05日
今年の診療報酬改定で療養担当規則等が改正され、患者が「特定機能病院」および「一般病床500床以上の地域医療支援病院」を受診時に紹介状を持参しない場合は、原則として最低でも初診時5,000円、再診時2,500円の定額負担を徴収することが2016年4月以降義務化された。
都内では15の特定機能病院、8の地域医療支援病院がこれに該当する(表)。
15特定機能病院 | 上乗せ額(円) | ||
地区 | 医療機関名 | 初診 | 再診 |
中央区 | 国立がん研究センター 中央病院 | 8,640 | 4,320 |
文京区 | 順天堂大学医学部附属 順天堂医院 | 5,400 | 2,700 |
日本医科大学付属病院 | 5,400 | 2,700 | |
東京医科歯科大学医学部附属病院 | 5,400 | 2,700 | |
東京大学医学部附属病院 | 8,100 | 4,050 | |
板橋区 | 日本大学医学部附属板橋病院 | 5,400 | 2,700 |
帝京大学医学部附属病院 | 5,400 | 2,700 | |
大田区 | 東邦大学医療センター大森病院 | 5,400 | 検討中 |
新宿区 | 慶應義塾大学病院 | 5,400 | 2,700 |
東京医科大学病院 | 5,400 | 2,700 | |
国立国際医療研究センター病院 | 5,400 | 2,700 | |
港区 | 東京慈恵会医科大学附属病院 | 5,400 | 2,700 |
品川区 | 昭和大学病院 | 5,400 | 2,700 |
三鷹市 | 杏林大学医学部付属病院 | 5,400 | 2,700 |
江東区 | がん研究会 有明病院 | 5,400 | 2,700 |
8地域医療支援病院(一般病床500床以上) | 上乗せ額(円) | ||
地区 | 医療機関名 | 初診 | 再診 |
中央区 | 聖路加国際病院(520床) | 5,400 | 2,700 |
港区 | 東京都済生会中央病院(535床) | 5,400 | 2,700 |
国家公務員共済 虎の門病院(860床) | 5,400 | 2,700 | |
目黒区 | 国立病院 東京医療センター(730床) | 5,400 | 2,700 |
渋谷区 | 日本赤十字社医療センター(708床) | 5,400 | 2,700 |
武蔵野市 | 武蔵野赤十字病院(591床) | 8,640 | 8,640 |
府中市 | 都立多摩総合医療センター(705床)※ | -5,000 | -2,500 |
小平市 | 公立昭和病院(512床)※ | -5,400 | 検討中 |
※2016年10月実施 東京保険医協会調べ |
すでに一般病床200床以上の病院については、1994年の医療法改正により各医療機関の判断で定額負担(旧/特定療養費、現在/選定療養)を徴収することが認められていたが、徴収するか否かやその金額などは任意であり、義務ではなかった。
過去、「外来機能分化」の名目で幾度か提言されては立ち消えを繰り返していたが、財政制度等審議会などで議論が再燃し、反対の声を押し切って2015年5月に成立した「医療保険制度改革関連法」により法制化されたものである。
さらに、国が定める「緊急その他やむを得ない場合」に該当する場合は患者から徴収してはならず、また「正当な理由がある場合」については医療機関の判断で支払いを求めないこともできるなど、医療現場では混乱も予想され注意が必要だ(下参照)。
▼定額負担の徴収が認められない患者(一般病床200床以上の病院について初・再診共通)
a)救急の患者
b)公費負担医療(国、地方単独共)の対象患者
c)無料低額診療事業の対象患者
d)エイズ拠点病院におけるHIV感染者
▼定額負担の支払いを求めないことができる患者(特定機能病院・一般病床500床以上の地域医療支援病院の初・再診のみ)
ア)自施設の他の診療科を受診している患者
イ)医科と歯科の間で院内紹介された患者
ウ)特定健診、がん検診等の結果、精密検査の指示を受けた患者
エ)救急医療、周産期事業等における休日夜間受診患者
オ)外来受診から継続して入院した患者
カ)地域に当該診療科を標榜する医療機関がなく、大病院が外来診療を実質的に担っているような診療科を受診する患者
キ)治験協力者である患者
ク)災害により被害を受けた患者
ケ)労働災害、公務災害、交通事故、自費診療の患者
コ)医療機関が自院を直接受診する必要性を特に認めた患者
(『東京保険医新聞』2016年7月5日号掲載)