保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【銀杏並木】開花宣言

公開日 2016年01月25日

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新宿区と文京区を分ける神田川の両岸に、ソメイヨシノの並木道がある。車が通れないために、ゆっくりと花見ができることで知られている。

毎日散歩していると、開花してから散ってゆくまでの変化が楽しめる。木ごと、枝ごとに開花の時期が異なり、気が早い枝、のんびり屋さんの木、などと性格があるようにも感じられる。例年、少し咲き始めてから数日もすると、都心の「標準木」に花がついたことをテレビで知らせる「開花宣言」がある。特定の1本の木に花がつくことが、それほどの重大事なのだろうかと思う。几帳面すぎるというか、管理社会も度が過ぎるようだ。

「ソメイヨシノが、そろそろ咲き始めているようです」くらいの話ではどうだろうか。「皇居前広場の緋寒桜は終わりました。早大正門の彼岸桜も散っています」などと付け加えてくれてもいい。たった1本のソメイヨシノが桜社会を代表するようなしくみを、誰が作ったのだろうか。憲法学者の多数意見は無視しているのに。ソメイヨシノは花期が短く、一斉に咲いて一斉に散るところが、全体主義の雰囲気を盛り上げる、という人がいる。それにしても、ソメイヨシノが咲くと、ああ、今年も見られたな、と思ってしまう。

死を予感させる花は、桜だけかもしれない。花には責任がない。見る人の気持ち次第だろう。(ポチ)

(『東京保険医新聞』2016年4月15日号掲載)

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