【声明】インフルエンザワクチン不足の解消を求める緊急要望書

公開日 2017年12月07日

2017年12月7日

厚生労働大臣 加藤 勝信 殿

厚生労働省 健康局長 福田 祐典 殿

東京保険医協会 会長 鶴田 幸男
地域医療部長 森本 玄始
大阪府保険医協会 理事長 高本 英司
政策調査担当副理事長 井上 賢二

インフルエンザワクチン不足の解消を求める緊急要望書

今冬の季節性インフルエンザワクチンの製造予定量は約2,634万本で、昨年度の使用量約2,642万本を下回ることが11月6日付の貴省事務連絡で明らかになっており、インフルエンザワクチンの不足はメディアでも大きく取り上げられているところです。

 東京保険医協会は、10月17日~10月27日にかけて、大阪府保険医協会は11月20日~24日にかけて小児科、内科等を標榜する当会会員に「インフルエンザワクチンに関する緊急アンケート」を送付し(東京3,510人、大阪2,613人)、東京744件、大阪732件の医療機関から回答を得ました。

集計の結果、東京では65%が、大阪では74%が「足りない」と回答しています。さらに昨年度との納入量の比較では、「昨年度より少ない」が東京で67%、大阪では69%に達し、「昨年度と同じ」(東京25%、大阪22%)を大きく上回りました。11月に東京保険医協会が緊急要望書を提出しましたが、それ以降に調査をした大阪府保険医協会の調査でも状況改善は見られません。現在もインフルエンザワクチンの供給不足は明らかです。特にこのままでは13歳未満の子どもに必要な2回のワクチン接種に加え、高齢者の定期接種ができない事態が懸念されます。

アンケートには「今後の納品スケジュールが不明のため、いつ在庫が切れるか不安で接種スケジュールが立てられない」、「ワクチンが足りないが、接種希望者に優先順位はつけられない」など医療現場の混乱を訴える声が記載されています。また「国が責任を持って安定供給体制を構築すべき」、「必要十分な生産量を確保してほしい」、「いつもワクチン不足に悩まされている。厚労省や自治体は通知を出すだけで、あとは現場へ丸投げされ、患者と医療機関が苦労する」など現場の切実な意見が寄せられています。

今季のワクチン供給不足の原因として、製造株決定の遅れが指摘されています。製造株を決定する貴省通知は、2015年は5月8日、2016年は6月7日に発出されていますが、今年は7月12日と例年に比べ大きく遅れています。重大なのは、ワクチン接種を希望する国民、接種を実施する医療機関に対して、ワクチン供給不足の原因がいまだに説明されていないことです。

インフルエンザワクチンの供給不足はこれまでもたびたび発生し、ワクチン接種を希望する国民が接種できない事態を招き、医療現場に大きな混乱をもたらしてきました。国民のいのちと健康を守るためにも、このような事態を二度と繰り返してはなりません。国の責任で以下の対応を早急に行うよう要望します。

1.インフルエンザワクチン供給不足の実態を調査し、明らかにすること

2.インフルエンザワクチンが供給不足に陥った原因と再発防止策を明示すること

3.製薬メーカー、卸業者、各自治体まかせの「脆弱なワクチン供給体制」の抜本的な改善に取り組むこと

以上