医療従事者のための手話入門講座を開催―「相手の目を見て対応しよう」

公開日 2018年02月09日

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研究部は1月20日、2年ぶりに「第3回医療従事者のための手話入門講座」を開催し、55人が参加した。

「はじめての手話入門講座」では、自身がろう者である佐藤八寿子氏から、ろう者が来院したときに受付窓口で知っておきたい基礎的な手話や間違えやすいコミュニケーションなどの手話を実演し、参加者も実践した。
続いて協会理事の平野浩二研究部副部長から「模擬診察―聴覚障害者が来院したら」と題して、聴覚障害者が実際に受診したときに、どのように対応したらよいのかを、参加した医師、スタッフに、ろう者とのやりとりを模擬実演してもらい、手話や筆談を交えた受付や診療における細かな対応についてアドバイスした。

平野理事は、ろう者は聞こえなくても相手の唇の動きや表情で会話をかなり理解できるので、マスクをはずして相手の目を見て対応することが大切であると助言した。筆談は平仮名ではなく、漢字のほうが理解されやすいこと、また、会話をすぐに文字化できるアプリも出ており、ペンと紙による筆談だけでなくスマホを有効に活用する方法も紹介した。

最後に、ろう者で、がん体験者である皆川明子氏(「がんば聾」代表)が「ナラティブの視点で語るろうのがん患者学」と題して、自身が乳がんに罹患したときの体験をふまえて、病院の受診、入院で困ったことや不便だったこと、ろう者が医療機関に望むことなどを手話とパワーポイントを使いながら訴えた。

参加者からは、「気にかけて診療をしていたつもりでも、ろう者の方に十分な医療を提供できていないことを痛感した。ろう者の方が孤独な生活にならないように心がけていきたい」「大学病院でさえ手話のできるスタッフがいない実態に驚いた」「院長・スタッフ全員が手話で会話ができればと思った」「ろう者の立場にたったコミュニケーションを心がけたい」など多くの感想が寄せられた。

(『東京保険医新聞』2018年2月5日号掲載)