「紹介状なし大病院受診」定額負担 最大5倍

公開日 2018年04月09日

前回改定で導入された「紹介状なし大病院受診の定額負担義務化」について、4月の診療報酬改定で基準を「許可病床400床以上」へと引き下げたため、東京都内では新たに13の地域支援病院が徴収を義務化される(表)。

表 2018年4月以降に新たに徴収を義務化される13病院
  地区 病院名 2018年1月時点
(初診時)
  2018年
4月以降
1 千代田区 社会福祉法人 三井記念病院 5,400円 初診時
5,000円
以上

再診時
2,500円
以上
2 大田区 東京都保健医療公社 荏原病院 1,338円
3 東京労災病院 3,240円
4 世田谷区 公立学校共済組合 関東中央病院 4,320円
5 板橋区 東京都保健医療公社 豊島病院 1,338円
6 練馬区 順天堂大学医学部付属 練馬病院 3,240円
7 荒川区 東京女子医科大学 東医療センター 5,400円
8 江戸川区 社会福祉法人 仁生会 江戸川病院 1,080円
9 青梅市 青梅市立総合病院 1,400円
10 八王子市 東京医科大学 八王子医療センター 5,400円
11 立川市 国家公務員共済組合連合会 立川病院 4,860円
12 独立行政法人 国立病院機構 災害医療センター 5,400円
13 清瀬市 独立行政法人国立病院機構 東京病院 3,240円
* 2018年1月時点の各病院の徴収額は、関東信越厚生局「保険外併用療養費医療機関名簿」から
* 自治体による条例制定等が必要な公的医療機関については、6カ月間の経過措置が設けられている

これとは別に、すでに一般病床200床以上の病院は、1994年の医療法改正で各医療機関の判断で初診時に限り定額負担(旧・特定療養費、現在・選定療養)を徴収することが認められている。徴収するか否かや、その金額などは任意であるため義務ではない。東京都内では2018年1月時点で93施設(最高8,640円、最低200円)がこの任意制度により初診時に定額負担を徴収している。

今回新たに義務化される13の地域支援病院でも、すでに各病院が定めた任意の金額を徴収しているが、4月以降は国が定める金額(初診時5,000円以上)に引き上げなければならない。最大で5倍の金額が患者に重くのしかかるほか、新たに“再診時”についても2,500円以上の金額を徴収することが義務となり、混乱は必須だ。

国は、自治体による条例制定等が必要な公的医療機関について6カ月間の経過措置を設けているが、すでに前回改定で義務化されている「特定機能病院(都内15)」と「一般病床500床以上の地域支援病院(都内8)」とあわせると、4月からは合計36病院に拡大する。

これまでも、地元の診療所等に「紹介状だけほしい」という患者が唐突に来院する事例も聞かれるなど、“外来医療の機能分化”とは程遠い状況が生じている。

(『東京保険医新聞』2018年4月5日号掲載)