【パブリックコメント】「風しんに関する特定感染症予防指針の一部を改正する件(案)」に関する意見として

公開日 2018年09月12日

東京保険医協会は9月7日、厚生労働省 健康局結核感染症課企画法令係宛に「風しんに関する特定感染症予防指針の一部を改正する件(案)」に関する意見として下記内容のパブリックコメントを提出した。

[案件番号:495180138]

東京保険医協会 地域医療部長 森本 玄始

日頃より国民のいのちと健康を守るため、ご尽力くださっていることに敬意を表します。
さて、「風しんに関する特定感染症予防指針の一部を改正する件(案)」に関する意見募集について、下記の通り意見を提出いたします。

【意見】
以下の対策を予防指針改正案に明記してください。
・2020年までの時限措置で抗体価の低い世代(30~50歳代)に対して抗体検査を行わずとも全額公費によるMRワクチンの臨時接種を実施すること。

【理由】
2018年の風疹罹患者のうち94%(257人。2018年8月29日現在)が成人で、とりわけ30~50歳代の男性が多くなっています。30~50歳代の男性は風疹含有ワクチンを接種する機会がなかったために、風疹に対する抗体が低い世代となっています。
風疹の感染を防ぐためには、抗体価の低い世代に対してMRワクチンの臨時接種を実施し、社会全体で集団の免疫レベルを十分に高めることが重要です。

指針が排除達成の目標として掲げる2020年まで2年を切りました。国立感染症研究所も「指針の目標である2020年度までにわが国からの風疹排除を達成するためには、多くの関係者の協力が必要であり、国民一人ひとりが自分のこととして風疹の予防(MRワクチン接種あるいは風疹抗体検査等)に努めることが重要である。抗体検査を実施せずにMRワクチンを接種しても医学的に問題はない」との見解を示しています。
MRワクチンは1回につき1万円程度の高額な負担となることから、全額公費で実施することが必要不可欠です。

訪日外国人旅行者数は年間2,869万人(2017年)、出国日本人数は年間1,788万人(2017年)にのぼります。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて訪日外国人旅行者のいっそうの増加が予測されます。開催国として、風疹の「輸出国」となることを防ぐための対策が国際社会からも求められています。

「風しんに関する特定感染症予防指針の一部を改正する件(案)」に関する意見として
繰り返されるワクチン供給不足の実態・原因を分析・評価し、ワクチン供給体制の問題点を具体的に明らかにし、ワクチン供給不足への対策を明記してください。

【理由】
MRワクチンは、2008年の麻疹流行、2012年から2013年にかけての風疹流行、2015年に北里第一三共が力価不足のため自主回収、2016年の麻疹流行など、突発的な流行や自然災害、製薬メーカーの不祥事のたびにワクチン不足による混乱が繰り返されています。
ワクチンがひとたび供給不足に陥れば、どれほど有効な対策が取り組まれていたとしても効果を発揮することはできません。脆弱なワクチン供給体制を改善し、安定的なワクチン供給体制を構築することが麻疹・風疹対策の大前提です。

以上