風疹大流行への緊急対策を求める要望書

公開日 2018年10月16日

2018年10月16日

厚生労働大臣 根本 匠 殿
厚生労働省 健康局長 福田 祐典 殿

東京保険医協会 会長 鶴田 幸男
地域医療部長 森本 玄始

風疹大流行への緊急対策を求める要望書

風疹患者の累積報告数は2018年10月10日現在、1,103人と発表されました(国立感染症研究所)。昨年の同時期と比較し約12倍もの風疹患者が報告されています。2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催まで2年を切るなかで発生した風疹の大流行は、国際社会からも懸念される重大な事態です。

9月29日付の読売新聞で「厚生労働省は、風疹の免疫の有無を調べる抗体検査について、30歳以上60歳未満の男性を対象に、来年度、検査費用を全額公費で負担する方針を決めた」と報道されました。

東京保険医協会は、低抗体価の世代の男性に対する抗体検査費用の実施が全額公費で提案されたことを歓迎します。しかしながら、対象者の多くは多忙でかつ、風疹への理解が乏しいこともあり、医療機関での抗体検査と低抗体価であった場合の再度の受診によるワクチン接種をしないのが実情です。現在職場健診では30歳以上のものは血液検査を受けるようになっており、同時に風疹の抗体検査をすれば多くの低抗体価のワクチン対象者を拾い上げることが可能となります。また現行妊娠10-12週に行われている妊婦への風疹抗体検査も妊娠判明と同時に行えば、予防が可能となります。

風疹の大流行と先天性風疹症候群(CRS)の発生を防ぐために、国の責任で、以下の対策を早急に行うよう強く要望します。

一、30歳以上60歳未満の健康診断を実施するにあたって、2019年度は血液検査の診断項目に風疹抗体検査を追加し、その費用を公費で負担すること
一、抗体検査の結果、低抗体価であることが判明したものに対して、公費でMRワクチンの臨時接種を実施するとともに、MRワクチンが不足しない体制を早急に確立すること
一、先天性風疹症候群(CRS)の発生を予防する観点から、妊娠健診で実施される風疹抗体検査について、妊娠が判明した時点で早急に実施するよう勧奨すること

以上

181016【要望書】風疹大流行への緊急対策を求める要望書[PDF:138KB]


風疹患者の累積報告数の最新情報は、国立感染症研究所のホームページをご参照ください。
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