外国人診療基本講座―英語による対応が最善

公開日 2018年12月04日

全体P
参加者ら
講師.篠塚P
「診療所は英語で充分」篠塚氏

 わずか7つのフレーズでほとんどの業務に対応

8月9日、福祉文化部の外国人診療基本講座を開催し、会員・医療従事者ら88人が参加した。講師の篠塚規会員(千駄ヶ谷インターナショナルクリニック院長)が、国内外の旅行医学会での活動経験に基づき、医療現場の対応について解説した。
マルチ言語対応が国の方針ではあるが、篠塚会員は、「それは病院のみの話で、クリニックでは英語のみで充分であり、“国際語”としての英語による意思疎通が最も簡単かつ確か」だとした。また、「診療は会話だけで完結するのではない。受付体制や設備など、システム面も重要」として、タブレットを用いた受付シートや、ホームページ内の英語での案内、英語での薬剤の説明書など、講師の医療機関の準備も紹介。「一番大切なのは、患者が求めていることを正確に把握し、適切な療養の給付を行うこと」と述べた。
また、診療所における英会話は、7つのフレーズを使うことでほとんどの業務を行えるとし、医師、看護師、受付と、それぞれの役割に応じた、現場を通して必要なフレーズを紹介した。
質疑応答では、「なぜ医療通訳の制度化に反対なのか」との質問に対し、「医療通訳制度は他国が既に行い、うまくいかなかった」と回答。「日本人の2倍の処方量が国際スタンダードだそうだが、保険請求はどうするのか」には、「行政は外国人を診療することを想定していない。今後の重要な課題である」などのやり取りがあった。
参加者からは、「現場で役立つと思う。フレーズも難しくなく、安心した」「ハイレベルの語学力ではなく、患者のニーズに応えることが重要だと再認識した」「今後はロールプレイや受付に特化した講義を開催してほしい」「医師・看護師だけでなく、事務職員もしっかり対応できるようになりたい」などの感想が寄せられた。
最後に司会の細部理事から「今日は多くの出席があり、要望に応えることができた。今後もいろいろな会を催したいので希望があればぜひ寄せてもらいたい」との挨拶があり、閉会した。

(『東京保険医新聞』2018年9月5日号掲載)

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