【参加記】危険な“めまい”も念頭に…

公開日 2018年12月20日

[写真]めまい_参加者


協会理事 奈良岡 美惠子

今回は、お二人の先生にご講演いただきました。

滝村由香子先生からは「倒れて目の前に床があった」は心原性が多い、病歴を詳細にとることが診断への一番の近道とのこと。さらに心原性失神は現行犯逮捕でないとわからない、ホルター心電図、体外式長時間心電計、さらに植え込み型心電計もあるそうで、原因不明の失神の診断確率が90%まで上がったそうです。

失神の原因の多くは①反射性(神経調節性)が60%。このなかに状況失神(排出・排便、咳・息こらえ、嘔吐などで起こるもの)が含まれます、②自律神経障害による起立性低血圧、③心原性がそれぞれ約15%。

「気がついたら目の前に床があった」まさにそういう方が当院にもおり、まだ30代の女性ですがペースメーカーの適応となりました。

中山杜人先生は、めまいは末梢性と思い込まず中枢性も検討することとし、頭部MRI・心疾患・貧血・血糖チェック、職歴(パソコン業務)スマホ多用か?首すじの痛みで解離性椎骨動脈瘤ということもあるそうです。

めまいをみたときは首・肩・肩甲骨の触診をしてみる。肩こり・首すじのこりからくる椎骨脳底動脈循環不全では抗めまい薬、脳循環改善剤、筋弛緩剤でよくなることが多く、数カ月続けた方がよいとのことです。

めまいは、耳鼻科・脳神経外科・整形外科・循環器内科・膠原病科など多くが関係している症状です。家庭医としてまず病歴・症状を詳細に聴取し、危険なめまいもあることを念頭におきたいものです。

 

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◆タイトル・講師
9月22日(土)めまい・失神の診断研究会
◎演題 その患者さんのめまい、失神、何科に依頼しますか?
講師 総合東京病院 循環器内科 医長 滝村 由香子 氏
◎演題 脱・思い込みめまい診療~めまいは内耳とは限らない~
講師 額田記念病院顧問 内科
元横須賀共済病院 内科部長 中山 杜人 氏
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(『東京保険医新聞』2018年10月25日号掲載)

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