公開日 2018年12月28日
下記は渋谷区のT先生へインタビューした内容です。
▼指導通知が届いた時は
開業されて1年11カ月目の新規個別指導だったとお聞きしました。
はい。厚生局が持っていたクリニックのレセプトは昨年の9月と10月分でした。請求や電子カルテの作成に不慣れな時期のものです。そのレセプトと私が持参したカルテと付き合わせる形で指導が進みました。
新規個別指導の通知が届いてから実施日の一カ月間、どういう準備をされましたか?
再診の患者さんのカルテを遡ってチェックすることに専念しました。
持参する診療録10人分の内訳は?
当院の患者は社保で若い方が多いのですが、社保・国保・後期とほぼ均等に選ばれていました。ただ、不慣れな請求をチェックしようとしたのか、来院一号の患者さんがリストに上がっていたのが印象的でした。
指導会場の様子をお聞かせください。
1フロアに20テーブル・20組くらいのように思えました。指導側は事務1人、指導官の医師2人です。こちらは私、事務長、看護師、事務員が2人づつ2列で並び、先方の3人と向き合いました。
▼定番の指摘項目
指導ではどのような項目が指摘されましたか?
質問リストを作っていて、特定疾患療養管理料の管理内容の記載や、土曜日16時で算定した夜間早朝等加算などを指摘してきました。
土曜日16時なら夜間早朝等加算は算定できますね。
はい。土曜日だと説明すると、それ以上は追求されませんでした。さらに、初診時の記載として、既往歴、家族歴などがしっかり書かれているか、また、再診とすべきところを初診料を算定していないか、診療情報提供料(Ⅰ)を算定している場合で、紹介状に相手先の医療機関名が明記されているかなどをチェックされました。
その質問は定番ですね。
そのとおりです。検査データと、それに基づく治療方針の記載も言われましたが、カルテに記載しており大丈夫でした。
▼協会の情報提供で準備は万全
今年6月に、協会の審査指導対策部が開催した新規指導対策講習会にご参加いただきましたね。
はい。大変役に立ちました。なにしろ、その1カ月後の7月に新規個別指導の通知が来たのですから。
協会の情報は参考になりましたか?
大変参考になりました。初診時の主訴・既往・家族暦の記載、外来管理加算の算定、診療情報提供料と照会先の記載、特定疾患療養管理料の管理内容の記載、これらが個別指導時の主要な指摘事項なのは、協会の講習会で一番強調しているところでした。
2カ月後に届いた指摘事項の文書通知には?
結果は「概ね妥当」でした。指摘事項は何も書かれなかったので、力が抜けてしまいました。
新規個別指導が終わったときの感想は?
ただただ請求上の手続きを、定められたとおりにやっているのかどうか、事務的なことをチェックする場だったのかと、拍子抜けしたというのが実感です。
▼新規指導は怖くない
新規に開業された先生方に一言お願いします。
「診療録への記載をしっかりやっていれば新規指導は怖くない」ということです。
指導は診療の中身を見るものではない。保険請求上必要な内容が、レセプトや診療録に記載されているかどうかがポイントだ、ということが判りました。求められていることをしっかり記載すること、これに尽きると思います。
有難うございました。
(『東京保険医新聞』2018年12月5・15日合併号掲載)