保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【参加記】中央講習会「抗菌薬の適正使用を考える」を開催

公開日 2019年01月09日

抗菌薬研究会IMG_1292

 12月1日、今次改定で新設された抗菌薬適正使用支援加算の算定要件となる”研修会”「抗菌薬の適正使用を考える研究会」には60人が参加した。

聴講記(品川区会員)

■検査試薬はどのように開発され市場に出るのか

 講師はデンカ生研株式会社試薬研究開発センターの青木智氏。

 現在、体外診断用医薬品は3,600億円の市場で、114社が関わっています。インフルエンザ迅速診断用キットは厚労省への届け出が必要で、6社が作成していて、いずれも5分以内に結果が出ます。

■抗菌薬、使うべきか、使わざるべきか、それが問題だ

 臨床場面では、いつもハムレットのごとく悩む問題です。

 講師の山中昇先生(藤沢御所見病院院長・和歌山県立医科大学名誉教授)は、「今日の治療薬」(南江堂)の執筆者で、豊富な臨床経験からの盛りだくさんの内容でした。

 日本はMRSA51%、肺炎球菌48%をはじめ耐性菌が多く、2050年には癌死亡800万人を凌駕する1,000万人が耐性菌による死亡という推計もあります。でも抗生剤は上手く使えば122億円の医療費削減になり、79億円の介護者の生産維持効果と合わせて200億円の経済効果が期待できるそうです。

 症例では、小児の2週間以上続く咳嗽は副鼻腔炎併発が83%と意外に多く、その小児の親や祖父母も罹患し易い。CTでは、副鼻腔は1歳ですでに形成されています。また高齢者の長引く咳嗽も副鼻腔炎が意外に多いそうです。70歳以上には咽喉頭の真菌症例も多く、91歳の舌癌そっくりの舌カンジダ症例も提示されました。

 中耳炎については、TFLXやTBPM―PIの登場や、2013年からのプレベナー接種で減少しつつありますが、一方難治例もあります。

 Hibワクチンは、インフルエンザ菌の莢膜型には有効ですが、無莢膜型には無効です。増殖すると菌体外に多糖質のバイオフィルムを作る動画は印象的でした。

 EBMにのっとったガイドラインもありますが、菌交代現象や耐性化の問題もあり、現実は絶えず変化しており、臨床に即して対応しなければなりません。

 日本医師会の生涯教育の単位が付けられているのも有難く、協会に感謝いたします。

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<講師・テーマ>
▼検査試薬はどのように開発され市場に出るのか
 青木 智 氏
 (デンカ生研株式会社試薬研究開発センター)
▼抗菌薬、使うべきか、使わざるべきか、それが問題だ!
 山中 昇 氏
 (藤沢御所見病院院長・和歌山県立医科大学名誉教授)
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(『東京保険医新聞』2018年12月25日号掲載)

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