アスベスト肺読影研究会―見逃される“じん肺・石綿肺”症例持ちより意見交換

公開日 2019年01月25日

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公害環境対策部は12月19日、藤井正實氏(芝診療所所長)を講師に、アスベスト読影研究会を開催し、会員ら25人が参加した。

健診や日常診療で出会っているはずのじん肺・石綿肺・関連疾患が、鑑別診断が難しいことなどもあって見逃され、労災適用にも結びついていないという現実がある。藤井氏は、はじめにじん肺の種類と診断方法、労災対象となる合併症について説明した。

じん肺症は、直径10マイクロメートル程度の粉じんを吸入することで発生する全身疾患であり、粉じんを吸入後、15~20年程度経過し、1ミリメートル大になると胸部レントゲン写真上で診断が可能となる。粒状影がはっきりしている「けい肺(遊離珪酸濃度40%以上)」患者は少数で、「その他のけい酸化合物(遊離珪酸濃度40%未満)」による「粒状影が淡く、辺縁が明確でないじん肺」が主流となっているため、多くのじん肺患者が見逃されている可能性があると指摘した。

続いて、壁側胸膜に生じる限局的な繊維性肥厚である「胸膜プラーク」等、特徴的なアスベスト肺の症例を解説した。

じん肺所見や管理区分の判定などは、国が定めた「じん肺標準エックス線フィルム」との比較で行われる。研究会では、標準フィルムの解説の後、参加者が持参したじん肺やアスベスト肺の所見が疑われる症例、計11例について検討した。

(『東京保険医新聞』2019年1月25日号掲載)