【談話】「医師の働き方改革検討会」厚労省案に反対する

公開日 2019年02月05日


2019年1月28日

過労死ラインの2倍 時間外労働 年1900~2000時間 「医師の働き方改革検討会」厚労省案に反対する

東京保険医協会
勤務医委員会委員長 細田 悟


 厚生労働省は1月11日、医師の働き方改革に関する検討会(以下、検討会)に、病院勤務医の時間外労働の上限を提案した。地域医療を適切に確保するために必要な医療機関を特定して、そこで働く勤務医の時間外労働の上限を年1900~2000時間に設定するというものだ。これは月平均約160時間の時間外労働となる。過労死ラインである2~6カ月の月平均80時間の2倍だ。このような特例は到底容認できるものではない。

 過労死ラインを超える病院勤務を望む医師はいない。このような事態となれば、「地域医療の適切な確保」などという美辞麗句とは裏腹に、地域の病院から医師は逃げ出し、病院に残った医師は今以上の労働を強いられ、その先には過労死が待っている、ということになりかねない。
時間外労働を1900~2000時間にする根拠は、病院の常勤勤務医のうち、時間外勤務が1920時間を超える医師が約1割いるためだと厚労省は説明している。これら過労死ラインを遥かに超えた医師たちを救済することこそ、求められているはずである。ところが検討会は、医療現場で横行している違法な時間外労働を法律や政省令の変更で合法化しようとしているのだ。これでは本末転倒である。「医師の働き方改革」ではなく、「医師の働き方改悪」であるといわざるを得ない。

 勤務医の労働環境の改善は緊急の課題である。厚労省は、勤務医の時間外労働の上限を年1900~2000時間などとする医師を疲弊させる特例案を即刻撤回するとともに、検討会は、まず、過労死ライン以上の時間外労働をなくすための論議を進めるべきである。そして、勤務医として雇われている側から発言できる委員を選出するなどして、医師の過労死を防ぐというメッセージを強く発信することを求めたい。

以上

190128【談話】「医師の働き方改革検討会」厚労省案に反対する[PDF:109KB]