保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

税制改正セミナー「2019年・税制改正大綱の行方」を開催​

公開日 2019年02月07日

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損税、税制での解決策示さず

1月12日に経営税務部は税制改正セミナー「2019年税制改正大綱の行方」を開催し、28人が参加した。講師の奥津年弘税理士(保険医サポートセンター/東京あきば会計事務所)は、今年度は大きな改正点が無いため、消費税関連を中心に解説した。

控除対象外消費税(損税)については、2018年度の税制改正大綱で「2019年度で、抜本的な解決に向けて総合的に検討し、結論を得る」としたにもかかわらず、結局従来の診療報酬に補填する対応に留まり、税制による抜本的な解決策は全く示されなかった。

輸出戻し税の総額は消費税収の1/5を占めており、税率が上がるほど輸出業者が儲かる税制となっている。財界が消費税の15%や20%への引き上げを狙っているなか、さらに税率が上がれば診療報酬での対応は限界を超える。損税解消には、いわば軽減税率の「ゼロ税率」しかないと述べた。

政府の増税対策のクレジットカードでの購買にポイント還元する制度(増税後9カ月程度・未確定)については、便乗してキャッシュレス化推進の手段にもされており、他団体から撤回要請が出されている。軽減税率にいたっては、イートインとテイクアウトで税率が変わるなど事業者の経済負担・事務負担が大きいうえ、水道光熱費等は10%と合理性がなく、さらに先行値上げが進んでいるなど、全くのまやかしであり混乱は必至であると述べた。

また16年改正の住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置では、消費税10%物件の非課税額が大きくなることを挙げ、税制が経済政策の道具にされていると批判した。

その他、社会保険診療報酬に係る事業税(地方税)の非課税措置は存続、個人所得課税で住宅ローン控除の3年延長、事業継承税制の創設等を説明。18年から改正されている配偶者控除の所得制限については、合計所得金額が1千万円超の場合は専従者給与での対応を勧めた。

質疑では、証券口座の金融機関へのマイナンバー提供期限について、昨年12月末までの猶予がさらに3年間延長されることが紹介された。

最後に最近の税制の評価として、①応能負担原則に反するものが多く、大企業は優遇減税の拡大により内部留保は前年比22・4兆円増の425・8兆円となる一方、庶民は増税により疲弊している。②第2次安倍政権以降、一般歳出予算が膨張し、ここ7年間で約11兆円も増加している。③税収にも限界があり、米国との自動車関税の交渉材料として高額兵器を購入するなどの構造を変えていかなければ、ツケは国民に回ってくる。地方選挙・参院選挙で納税者としての審判を下す必要がある、と指摘し講演を締めくくった。

(『東京保険医新聞』2019年2月5日号掲載)