保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【主張】損税の抜本解決を放棄した「税制改正大綱」

公開日 2019年03月13日

2018年12月21日、「2019年度税制改正大綱」が閣議決定された。医療機関の損税に対して、診療報酬での補填のばらつきに問題点をすりかえ、「消費税10%への引き上げに際しては、診療報酬の配点方法を精緻化することにより、医療機関種別の補填のばらつきが是正される」と、税制での解決を放棄した。

中医協総会(2019年1月16日)は、消費税率10%への引き上げに伴う診療報酬改定案作成の諮問を受けた。答申・告示の時期は今後の議論で決まる。増税時に実施する改定率については、本体0・41%増、各科改定率は医科0・48%増、歯科0・57%増、調剤0・12%増とした。税率が8%となった2014年度の診療報酬の損税補填率に誤りがあったため、今回は前回の補填を一旦リセットし、14年度改定の点数をベースに上乗せする。5%から8%への引き上げ部分も含めた改定財源は1年度当たり約4,700億円で、病院に約3,000億円、診療所に約1,000億円が配分される。上乗せ率は14年度改定前の点数ベースで初・再診料を5・5%、入院料は1・5%~8・8%とし、最終的な点数は答申時に決まる。

小手先の点数補填の手法

厚労省は今まで損税解消を診療報酬への補填で対応してきた。5%までは基本診療料と一部個別診療項目に補填したが、その後点数が廃止されたり、他の診療項目と包括化されるなど検証不可能となっている。8%増税時には基本診療料のみへの補填に切り替え、今般の10%増税についても同様の手法を示した。

しかし、こうした診療報酬で補填する手法では、患者負担に消費税相当分が上乗せされる。これは、社会保険診療等に係る医療は国民の生存権を保障するもので消費税はなじまないという政策主旨に反する。また、いくら配点方法を「精緻化」するとしても診療報酬での補填では医療機関ごとのばらつきが解消しないことは、この間の中医協で繰り返し議論されてきたはずだ。

抜本解決はゼロ税率しかない

政府は長年の損税問題について2019年度税制改正大綱で、税制上の抜本解決に向けて結論を示すと約束していた。政府や厚労省、財務省は抜本解決に向けた議論に真摯に取り組まず、抜本解決を放棄したと言わざるを得ない。あってはならないが、税率がこの先さらに引き上がるようなことがあれば、矛盾はさらに拡大する。

いのちと健康には消費税は課さないという政策理念により診療報酬は非課税とされている。しかし、非課税である限り、診療報酬への補填など小手先の見直しでしか対応できない。

10%増税時には低所得者対策として飲食料品や定期購読物には8%の軽減税率が適用される。医療を課税化しゼロ%の軽減税率とする「ゼロ税率」にすれば真の意味での非課税となり、損税負担の抜本解決につながる。

今回の税制改正大綱に強く抗議するとともに、消費税の引き上げ中止、税制での抜本解決のため「ゼロ税率」の導入を強く要望する。

(『東京保険医新聞』2019年2月15日号掲載)

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