保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【主張】大人世代への風疹定期接種化を考える

公開日 2019年03月13日

国立感染症研究所の発表では、2018年の風疹患者数は2917人で、1万4344人であった2013年に次ぐ多さとなった。2019年も367人以上の患者が報告され、流行が続いている(2月6日現在)。そのなかで、先天性風疹症候群の症例も報告された。

協会はこれまで、低抗体価の世代に対して、男女を問わず抗体検査なしにMRワクチンを公費で接種することを国や東京都に要望してきた。

この間、東京都は、母子手帳等で予防接種歴等が不明な、妊娠を予定または希望する女性を対象に、風疹の予防接種を抗体検査と一体的に行う区市町村の事業を支援してきたが、風疹の流行をふまえて、2018年10月26日に、同事業の対象を①妊婦の同居者、②妊娠を予定または希望する女性の同居者まで拡大する緊急対策を発表した。

この発表を受け、11月以降、都内の多くの自治体で、対象者が拡大された。特に多摩地域の30自治体では、それまでは男性への助成が皆無であったが、11月以降順次、全ての自治体で対象者を東京都の緊急対策で示された範囲に拡大した。この緊急対策によって、対象者の風疹抗体検査は無料となった。しかし、低抗体価であった者の予防接種費用については、都内の半数の自治体で一部自己負担が発生しており、対象者がワクチン接種をする上で大きな障害となっている。

協会はMRワクチン接種費用の無料化を求め、2月18日に東京都知事宛に緊急要望書を提出した。

一方、厚生労働省は12月11日、大きく変遷してきた国の施策の結果、予防接種の機会がなかったために特に感染リスクが高いとされる39~56歳男性を対象に2019年から約3年間、免疫の有無を調べる抗体検査と抵抗体価であった者へのワクチン接種を原則無料化すると発表した。

協会は11月16日に小児科・内科等の会員3782人を対象に緊急アンケートを行い、851件の回答のうち、内科の33%、小児科の27%、全体では32%が「MRワクチンが不足している」との回答であった。

抗体価が低い39~56歳の男性は約1600万人にのぼり、接種希望者が集中すればワクチンが供給不足に陥る可能性がさらに高まる。そこで、厚労省は、2019年度、特に感染者が多い39~46歳の男性に対象を絞り、4月以降、区市町村から抗体検査の受診券を送付することとした(47~56歳は2020年度以降送付)。

われわれは、これら東京都の緊急対策および厚労省の施策を歓迎する。しかし、「20~30歳代の男女ともに感染者が多いにも関わらず、対象が男性に限られている」「抗体検査が前提となっており、低抗体価であった場合の確実な接種の実施が確保されていない」等、不十分な点が残っている。

協会は、多くの訪日者が予想される2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに、低抗体価の世代が抗体を獲得できるようにするために、①抗体検査および定期接種に必要な検査試薬、ワクチンの増産・確保をすること、②風疹流行の大部分を占める東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、福岡の7都府県の30~50歳代の男女に対し、抗体検査なしにMRワクチンを公費接種することを引き続き求めていく。

(『東京保険医新聞』2019年2月25日号掲載)

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