保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

【談話】2019年参院選に臨んで

公開日 2019年07月17日

東京保険医協会
政策調査部長 須田 昭夫

 参議院の2分の1を改選する時期が来た。

 国政には年金、消費税、憲法、原発、など、積年の課題が目白押しだが、国政にとって最も重要な予算委員会が、ほぼ4カ月も開催されなかったのは不審だ。政府の発言は抽象的で、対話を拒絶する印象がある。国民に説明する姿勢にはふさわしくない。数々の隠ぺい、捏造、改ざん、失言にかかわる問題が、国会を空転させた。

 安倍総理は衆参同時選挙にも言及したが、国民が選んだ議員の資格を、独裁者のように根こそぎ奪うことは、議会主義に違反する。日本国憲法は前文の冒頭に、『日本国民は正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し』と記している。

 だが、問題は「正当な選挙」が実現されていない可能性があることだ。議席数が、民意を反映しているとは言い難い。圧倒的多数を誇る自民党も、絶対得票率は小さく、比例区ではわずか16~18%、選挙区でも25%弱しかない。2012、14、17年の選挙では「圧勝」しているが、得票数は2009年に「惨敗」したときよりも少ない。選挙制度のひずみに加えて、国民の無関心と投票率の低さが、第一党の圧勝を生んでいる。国民の投票率が低く、与党支持者の投票率が高ければ、与党が圧勝する。野党が分断されていれば、なおさらだ。まさか、実のない議論で失望させて、強引な行政で諦めさせ、パフォーマンスで力を誇示して、独裁政治をしようとしている訳ではないだろう。

 世論調査では全く不人気な憲法改定に、なぜか自民党は熱心だ。選挙とは違って死に票のない国民投票では、どんな結論が出るのだろうか。

 2,000万円足りない年金を、さらに30%削減する「マクロ経済スライド」は、国民生活を破たんさせる恐れが指摘されている。破たんを回避する方法の発見が必要だ。年金問題は選挙の大争点になっている。不都合な事実を隠さず、あらゆる資料を公開した議論を期待したい。

 今回の選挙で火急の論点は、10月の消費税増税である。1989年に消費税3%が導入され、1997年5%、2014年8%となっているが、1990年と2018年の国税収入は49兆円と48.8兆円で、全く増加していない。たしかに消費税収は13兆円増加したが、法人税が6.2兆円の減収、所得税が7兆円の減収である。消費税は法人税減税と所得税減税の穴埋めに使われたことが明らかだ。

 その一方で日本は、最近20年間のGDPが、世界で唯一のマイナス国になってしまった。世界中で、最も縮んだ国になったのである。GDPの60%は国民消費に由来するが、消費税は消費に対するペナルティーの効果を持っている。取引のたびに徴収される消費税は、消費を縮小させる効果が大きく、国民経済を低迷させている。そして、低所得者ほど負担感が重い。増税して景気が良くなるならば、誰も苦労はしないだろう。消費税を10%に引き上げれば、国民生活はさらに困窮に陥るだろう。国民所得が減少し、世界情勢も景気悪化に向かっているときには、増税を思いとどまるべきではないか。安倍政権はなぜ、日本を破壊する恐れのある政策に固執するのだろうか。

 美しい辺野古の海を見せしめのように埋め立てて、戦争する国づくりに邁進し、低所得者を罰するかのように社会保障制度を破壊し、米国が喜ぶ貿易協定で食料の自給率を低下させることは、何を期待しているのだろうか。

 国会が、言論の府を取り戻すことができる選挙を願っている。

(『東京保険医新聞』2019年7月15日号掲載)