保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

10月からの消費税増税に抗議する

公開日 2019年10月10日

10月からの消費税増税に抗議する

経営税務部 担当副会長 吉田 章

 

 10月から消費税率が原則10%に上がった。周知の通り、医療は非課税とされており、医療機関は患者さんから消費税を受け取ることができないので、薬品や医療機器・材料を仕入れる際に支払う消費税を差し引くことができず、損税が発生している。その分を診療報酬に上乗せして補填する策がとられているが、不十分であることが次々と明らかになってきている。今年8月の新聞報道では、全国国立大学病院42カ所で、2014年から18年の5年間で発生した損税のうち補填不足額が969億円にも上るとのことである。

 外来の点数については、5%から8%に上がった際、初診料に12点、再診料に3点が上乗せされたのに対して8%から10%の今回は初診料6点、再診料1点と6種の医学管理(地域包括診療料1、+100点他)、在宅患者訪問診療料(診療料1 イ 同一建物居住者以外の場合、+55点他)が上乗せされた。前回の上乗せについては、後に、実は約90%しか補填されていないことが明らかになった。それと同じ水準を保つためであっても、3%増加時に初診料+12点、再診料+3点なのだから、2%増加時はその3分の2で+8点と+2点が必要なのだが、今回はそれぞれ+6点と+1点でしかないので補填率はさらに下がることになる。おそらく当局は医学管理、在宅医療の上乗せ分で埋め合わせられると主張するのであろうが、該当項目を算定している医療機関は一部に限られているので、該当しないその他多くの医療機関は確実に損税が拡大する。

 ある内科診療所では、一昨年度の補填率は約80%であるのに対し、10%の増税時は60%弱と試算されている(東京保険医新聞2019年5月5・15日合併号)。

 そもそも、医療機関によって、診療行為の種類、頻度、必要な器材は異なるため、診療報酬に対する損税の割合も異なるはずである。それが診療報酬数項目に一律に上乗せすることで補填されるはずが無いことは明白であるのだが、その大元にメスを入れず、従来と基本的に同じ方式を手直しした今回の補填策は、従来以上に損税を拡大すると考えられる。

 消費税は経済活動に負の影響を及ぼすとされ、今回の増税は現在悪化に向かいつつある日本経済に多大なダメージを与えることが懸念されている。医療機関に強いている損税という特殊な負担をさらに増大し、経営悪化を招きかねない消費税増税に対して断固抗議する。

(『東京保険医新聞』2019年10月5日号PR版掲載)