【主張】診療報酬改善と周知期間の確保を求める

公開日 2019年10月28日

 現行の診療報酬の算定は非常に複雑で、理解するのが難しい。

 在宅や医学管理には併算定できない規定があり、告示、通則、通知、事務連絡をすべて読み込まなければ正しい算定は困難である。初再診料にも様々な加算が存在し、カルテ記載が算定要件になっている外来管理加算や、電話再診と医学管理が併算定できないことによる診療情報提供料の減点査定など現場への負担となっている。

 また、包括点数も数多く運用され、併算定できないことの原因になるだけでなく、医師・看護師の労働に見合わない点数になっていることも少なくない。加えて、医療材料、薬剤料も問題だ。患者へのより良い医療の提供が保険で認められない、包括されているなどの理由で保険請求できず医療機関の持ち出しになるなど例を挙げるときりがない。

 簡潔な規定、加算ではなく基本点数そのものの引き上げ、不合理な包括の廃止などが実施されるよう要求していく必要がある。

 さらに、昨今の診療報酬改定・介護報酬改定では、医療機関および介護事業所への改定内容の周知が不十分なまま、新年度初日から新点数が実施され、疑義解釈で算定方法の修正が行われることが頻発している。周知期間があまりに短く、医療機関・介護事業所のみならず、患者にも多大な負担となっている。

 そもそも、法改正や公的制度の変更が詳細な取扱いを示されないまま実施に移されるなどということはあり得ないことである。診療報酬改定については、改定実施直前の3月末頃に大量の疑義解釈が厚生労働省事務連絡で示される事態が続いているが、改定実施の数日前に詳細な取扱いを、通知ですらない事務連絡で規定することは明らかに異常である。

 保険診療の円滑な運用に支障を来す事態を招かないよう、告示から実施まで、社会的な常識に照らして十分な長さの周知期間として、少なくとも実施まで2カ月以上、疑義解釈を含めた周知期間を設けることが必要だ。

 国民皆保険と言いつつ、保険料すら支払えない人が増え、国民生活を圧迫している現状は、とても皆保険であるとは言えない。政府の暴走を阻止できるのは、われわれの民意以外にない。

 協会は、国会行動を通じて診療報酬改善と周知期間の確保を求めて働きかけを強めていく。


(『東京保険医新聞』2019年10月25日号掲載)