国会行動―オンライン資格確認中止を要望

公開日 2019年11月08日

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川田龍平議員(参・立憲、中央)
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田村智子議員(参・共産、中央)
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宮本徹(衆・共産、左)

  10月17日、協会は東京選出の国会議員に要請を行い、須田昭夫副会長、細田悟理事が参加した。今回は、川田龍平議員(参・立憲)、田村智子議員(参・共産)、宮本徹議員(衆・共産)との本人面談が実現した。当日は、「保険証のオンライン資格確認の導入中止」を要望した。

オンライン資格確認は問題だらけ

 政府は2021年3月から保険証のオンライン資格確認の本格運用を開始し、2023年3月までに「概ねすべての医療機関等での導入を目指す」としているが、これには多くの問題がある。

 まず、患者がマイナンバーカードを作り持ち歩くことになるため、紛失の危険性が伴う。さらに、院内ネットワークがオンラインで常時院外とつながることになり、医療情報を含む患者のプライバシー流出の危険性が高まる。また、災害等により停電した場合、オンライン資格確認は全く機能しない。

 政府は医療情報のマイナンバーへの紐づけを計画しているが、これは「医療情報はマイナンバーに紐づけない」とするマイナンバー導入時の国民への説明を反故にするものだ。情報漏洩を完全に防ぐことは不可能であり、漏洩等が起こった際に個人の受ける被害は計り知れない。

 こうした理由からマイナンバーカードによる保険証のオンライン資格確認の導入は中止すべきだ。

様々な話題で懇談

 川田龍平議員は保険証のオンライン資格確認について、「医療情報が大事であるという認識が国会議員に足りない。政府はいずれ医療情報をマイナンバーに紐づけていくだろう」と指摘したうえで、米企業のアマゾン社をはじめ顧客情報の流出が各地で大規模に起こっており、情報漏洩を完全に防ぐのは不可能だと懸念を示した。また、働き方改革については「働く時間を減らしても、給与が少ないために、他のアルバイトをせざるを得なくなり結局オーバーワークとなっている労働者もいる。給与の問題も含めて考えるべき」とした。川田議員は今国会で厚労委員のほかに行政監視委員会の委員長に就任し、行政を監視する立場となった。参議院のHP上に「行政に対する苦情窓口が」あるので、行政に対して苦情・要望があればぜひ利用してほしいと述べた。

 田村智子議員は、「マイナンバーの普及・活用に非常に経費がかかっており、無駄遣いだ。保険証で間に合っているにも関わらず一本化する必要性や利便性は全くない」とした。また、公的・公立病院等の再編統合に係る病院名の公表については、「地域医療の衰退を招くものであり、公表された病院の医療従事者が辞職を申し出るなど既に影響が出ている。再編統合とは言っているが事実上廃院を強要されている」と危機感を示した。働き方改革について、日本は労働問題は民間同士の問題という立場をとっており、労働問題に係る条約に一切批准していないという問題を指摘した。

 宮本徹議員は、医療情報はマイナンバーに紐付けないという国民への説明を反故にし、マイナンバーカードを普及させようとする政府の姿勢は大問題であるとの認識を示したうえで、日本でも、2015年に日本年金機構から100万人以上の個人情報が流出する事態が発生したことから、「マイナンバーの導入に一貫して反対し、国会でも追及してきたので、問題意識は共有している」とし、引き続き国会でも追及していく構えをみせた。

 医師の働き方改革に関しては、医師の絶対数が不足しており、医師の「偏在」問題にすり替えた対策では解決しないと言及した。

 その他、伊藤俊輔議員(衆・立憲)、末松義規議員(衆・立憲)、長妻昭議員(衆・立憲)、笠井亮議員(衆・共産)、吉良よし子議員(参・共産)、小池晃議員(参・共産)、山添拓議員(参・共産)、舩後靖彦議員(参・れいわ)、の秘書と面談した。

(『東京保険医新聞』2019年11月5日号掲載)

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