保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

[シリーズ]コロナ禍での診療を考える②

公開日 2020年08月25日

コロナ禍での診療を考える② 耳鼻咽喉科から見る新型コロナと診療

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ミルディス小児科耳鼻科 平野 浩二

耳鼻科で「処置」ができない

 当院は耳鼻咽喉科と小児科のクリニックであり、ともに風邪などの急性期疾患を主に診ている。今回の新型コロナ騒動のために患者の受診控えが起こり、患者数は3割ほどに激減してしまった。

 耳鼻科の診療の場合には、鼻汁を吸引する、のどに薬を塗る、ネブライザー治療をするなどが診療のメインになっているところも多い。新型コロナの感染を誘発するという理由から、これらの処置をしないようにという指示が出された。このため、鼻や口腔内を見ただけで診断せざるをえず、耳鼻科の優位性が一気に崩れてしまった。患者さんからも「なぜ処置をしてもらえないのか」という苦情がたびたび来るようになった。

発熱患者の診療拒否 都内随所で多発

 「熱があったらコロナの可能性がある」。このために、発熱患者が受診を拒否されているケースが多い。

 当院は足立区で東京の東に位置する。西の市街部の患者から「微熱が1カ月続いているのだが、診てもらえないだろうか」という問い合わせがあったのにはびっくりした。周辺のクリニックからはことごとく診察を断られてしまったそうである。

 熱がある人は事前にご連絡くださいと言われて、電話をすると診療を拒否される。そんなことが東京の随所で起こっている。

 たしかに、コロナは熱が出るかもしれないが、熱が出た患者の中でコロナの患者はごく少数であろう。熱が出たからと断られて当院を受診してきた急性扁桃炎の患者は本当に多い。口の中をのぞけばすぐに診断できそうな急性扁桃炎が、診察されず見逃されてしまっている。

 急性期疾患を主に診ている診療科だから、熱や咽頭痛を診ないわけにはいかない。マスクなどの防御はしているものの、通常と同じ診療をするように心がけている。

(『東京保険医新聞』2020年8月25日号掲載)