保険医の生活と権利を守る東京保険医協会

オンライン資格確認 導入申請は慎重に

公開日 2020年09月14日

オンライン資格確認 導入申請は慎重に 

 

 

 
「カードリーダーだけ受け取る」のは不可

 8月7日、厚労省はマイナンバーカードの保険証利用に使われる顔認証付きカードリーダーの申し込み受付を開始した。申し込みはポータルサイト(https://www.iryohokenjyoho-portalsite.jp/)から行う。

 7月中旬に各医療機関に厚労省・社会保険支払基金から「オンライン資格確認導入に向けたご案内」が送付されたが、同案内にはあたかも強制的に導入されるかのような文面が続き、協会には会員から「オンライン資格確認導入は義務なのか」との問い合わせが多数寄せられた(東京保険医新聞7月15日号参照)。

 まず、「オンライン資格確認の導入」は義務ではなく、あくまで医療機関の任意である。その上で、国は申請者に対し、①オンライン資格確認に必要な顔認証付きカードリーダーを無償で提供し、②その他のシステム整備の費用を補助する、としている。

 ただし、カードリーダーの提供台数や費用の補助には制限がある(図1)。また、「カードリーダーは受け取るが、マイナンバーカードによるオンライン資格確認は導入しない」ということはできず、その場合はカードリーダーの費用相当(約10万円)の返還を求められることになるので注意が必要だ。

 そのため、カードリーダーを申し込む前に、他の設備についてもレセコン業者等のシステムベンダと相談し、全体の費用の目途を付けた上で申請することが求められている。一度設備を揃えれば終わりではなく、その後も定期的なメンテナンスの費用がかかることに留意いただきたい。

 8~9月に顔認証付きカードリーダーの申し込み、10~12月にオンライン資格確認等システムの申請と電子証明書の発行利用の申請を実施し、2021年1月以降に補助金申請の受付を行うこととなっている。オンライン資格確認の開始は2021年3月の予定だ。

オンライン確認導入後も当面は保険証の持参が必要

 実際に患者が来院した時のオンライン資格確認の手続きは、図2の通り。

①患者がマイナンバーカードをカードリーダーに置く。

②患者の本人確認を行う。基本は顔認証を使うが、患者が暗証番号(患者がカード受け取り時に設定)を入力する、受付スタッフによる目視確認等の方法もある。

③患者の薬剤情報・特定健診情報を閲覧することの同意を得る。

④オンラインで資格情報を確認する。

という流れである。

 患者がマイナンバーカードではなく、健康保険証を持参した場合は、健康保険証に記載された保険者番号、被保険者証記号・番号・枝番、生年月日を入力して、オンラインで資格情報を得る。

 また、マイナンバーカードを配布された時点では保険証としての利用はできず、マイナポータルで利用登録の手続きを行う必要がある。患者が登録手続きを行わずに来院した場合、カードリーダーを用いてその場で登録手続きを行うこととなっている。

 患者がマイナンバーカードしか持ってこなかった場合、オンライン確認に対応していない医療機関では資格確認ができない。また、カードによる認証がうまくいかなかった場合も健康保険証が必要になる。こうしたことから、政府は当面「マイナンバーカードと健康保険証の両方を持参する」ようアナウンスするとしている。逆に言えば、今までどおり健康保険証を使って手続きをすることで、不便は生じないことになる。

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顔認証付きカードリーダー申請は慎重に検討を

 上記「主張」で詳しく述べた通り、「オンライン資格確認」は、利用が低迷しているマイナンバーカード普及策としての色合いが濃いものである。
 顔認証付きカードリーダーの申し込みに当たっては、費用面・安全面・手続きの問題点を把握した上で、慎重に検討されたい。また、オンライン資格確認を行わない医療機関は、患者との無用なトラブルを避けるためにも、従来どおり健康保険証を持参するよう医療機関内に明示しておくことが望ましい。

(『東京保険医新聞』2020年9月5日号掲載)