日本学術会議の推薦候補を任命するよう求めます

公開日 2020年10月08日

2020年10月5日

東京保険医協会
政策調査部長 吉田 章
 

日本学術会議の推薦候補を任命するよう求めます

 

 2020年10月1日から任期が始まる日本学術会議(以下、同会議)の新会員について、同会議が推薦した会員候補105人のうち6人の任命を菅義偉内閣総理大臣が拒否したことが明らかになりました。

 同会議の会員の選考権限を持つのは、日本学術会議法上、同会議だけです(第七条二項、第十七条※1)。内閣総理大臣による任命拒否は、法律の明文規定に反する違法行為です。日本学術会議法第七条二項には「推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する」と規定されており、憲法第六条一項の「天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する」の「基いて」と同義であると指摘されているところです。内閣総理大臣には同会議会員を選考する権限はありません。

 今回の任命拒否は、政府から独立した日本学術会議への不当な圧力、介入です。日本国憲法第二十三条で保障された「学問の自由」※2を侵害しており、憲法違反に当たります。

 法治国家である日本において、内閣総理大臣の違法行為がこのまま放置されることがあってはなりません。学術や科学的知見は自由な研究・言論活動が保障される中で発展を遂げてきました。私たちは、科学的知見に基づいて医療を行う医師の立場から、同会議新会員の任命拒否による「学問の自由」の侵害に強く抗議します。菅義偉内閣総理大臣に対し、同会議の推薦候補でありながら任命されなかった6人を、速やかに日本学術会議会員に任命するよう求めます。

以上


※1 日本学術会議法
第七条2 会員は、第十七条の規定による推薦に基づいて、内閣総理大臣が任命する。
第十七条 日本学術会議は、規則で定めるところにより、優れた研究又は業績がある科学者のうちから会員の候補者を選考し、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣に推薦するものとする。

※2 日本国憲法 〔学問の自由〕
第二十三条 学問の自由は、これを保障する。