[シリーズ]コロナ禍での診療を考える⑦

公開日 2020年11月26日

コロナ禍での診療を考える⑦ 緊急事態宣言から今日までスタッフ・患者さんと共に

樹のはなクリニック 奈良岡 美惠子

 2020年1月中国で原因不明の肺炎患者が出たと報道され他人事のように思っていると、2月になりダイヤモンドプリンセス号での船内感染が連日報道されました。3月になり東京で感染者が急増しはじめ、世田谷区在住の方が大阪のライブハウスで感染したと報道されました。保健所で検査をしなくてもよいと言われたが心配とのことで、当院のコロナ用Web問診を初めて使った方でしたから印象に残っています。
4月はまだ4日以上の37・5度の発熱の縛りがあり、丸4日待ってようやくPCRを受け陽性の人もいました。入院そして、その後ホテルに移動し約3週間掛かって退院。その間ショートメールで容体を確認していました。最初の返答は「助けてくれ」8日間ただベッド上安静、水も受け付けず点滴はなく、過酷な状態だったようです。食事は鳥のから揚げ弁当など。

 5月1日から世田谷区医師会はPCRセンターを設置しました。電話で診察をして当日PCRを受けることができ、翌日FAXで結果が到着。陰性時は当院からの電話連絡、陽性者は当院からと保健所からの双方から電話連絡がいくシステムです。

 7・8月は30名以上センターに紹介し1割が陽性でした。20歳代、繁華街で飲み会、味覚嗅覚異常、8割は喫煙者でした。

 3・4月は計画的に長期処方をしており3割減の外来者数でした。4月はスタッフ総出で「クリニックは元気で頑張っています!」と葉書出しをしました。葉書にシールをはったり絵を書いたりスタッフ達も懸命でした。頑張ったかいがあり感謝と激励の電話や手紙を頂きました。

 マスクが不足して困っていると、患者さんから差し入れがあり助けられました。中にはN95!もありました。でも消毒用アルコールには困りました。市価の倍以上するものが届き、どこ経由とは書きませんが泣く泣く支払いました。お菓子会社が医療機関にクッキーを配っていると患者さんが代理で申し込んで下さったこともありました。心細いときは、やはりスイーツだ!

 緊急事態宣言が解除され、すぐに一般健診を再開しました。事前に前倒しして受けるようお願いしておきました。今年はインフルエンザ予防接種も極力Web予診票利用を呼び掛けています。以前から導入している順番とりシステムも待合室の密化を防ぐ役に立ちました。都心の狭小クリニックができる発熱外来とは?また申請書類のややこしさに頭を悩ませる日々です。

(『東京保険医新聞』2020年11月15日号掲載)