公開日 2020年11月30日
2020年11月27日
内閣総理大臣 菅 義偉 殿
厚生労働大臣 田村 憲久 殿
東京保険医協会
研究部長 申 偉秀
「診療・検査医療機関」への支援に係る要望書
新型コロナウイルス感染症への対応に敬意を表します。今冬のインフルエンザ流行期における発熱患者への対応として、厚生労働省ではかかりつけ医を中心とした外来・検査態勢の整備として「診療・検査医療機関」を新たに定めました。また、「診療・検査医療機関」の指定を受けた医療機関に対して、診療・検査体制に要する費用が補助される「発熱外来診療体制確保支援補助金」が申請によって支払われることが周知されています。「診療・検査医療機関」及び「発熱外来診療体制確保支援補助金」の取り扱いについて、以下の通り要望致します。ご検討のうえ、速やかに実現いただきますようお願い申し上げます。
要望趣旨
要望1 診療・検査医療機関に登録されたすべての医療機関に一律に財政支援をしてください。
要望2 「新型コロナウイルス検体採取料」を新たに設定してください。
要望理由
要望1の理由:新型コロナウイルス拡大およびインフルエンザ流行期に対応すべく、診療・検査医療機関の登録が推進されています。かかりつけ医は、地域患者の健康の保持と、入院医療機関及び保健所機能の崩壊を防ぐためこれに応じています。しかし、新型コロナウイルス感染の懸念から全医療機関で患者の受診抑制がみられ、診療・検査医療機関への登録は、さらなる患者受診抑制への恐れがある中、かかりつけ医は、院内感染への不安を抱え感染防護に最大限配慮しながらこれに応じています。診療・検査医療機関に対する国の補助は、体制加算と位置づけ、時間内に患者が実際来院しなかったことへの補償の意味合いであるため、上記の不安(受診抑制、感染)を払拭し積極的に登録するに足るインセンティブには至っていないのが現状です。様々なリスクを冒してもかかりつけ医機能を高めようとして診療・検査医療機関に登録した医療機関に対しては、国が認証し、支援する意味で一律に財政支援をしてください。
要望2の理由:かかりつけ医における新型コロナウイルス検査は、おもに抗原定性検査と外注PCR検査となります。これらの検査実施料はほぼ迅速キット購入費と外注検査代に充てられ、検体採取の技術料や採取器具、感染予防に係る費用は検査判断料から賄っているのが実情です。したがって免疫学的検査判断料(抗原検査)と微生物学的検査判断料(PCR)でこれら物品費をようやく賄っている一方、抗原またはPCR検査の再検査の際は、2回目以降の判断料を算定できない決まりとなっています。再検査によって検査諸費用がマイナスになりかねない診療報酬設定は、結果として、必要な再検査の実施の抑制にもつながりかねません。新型コロナウイルス検査はかかりつけ医における検体採取時の感染予防が肝要であり、これに係る個人防護具、消毒液、その他の施設・器具維持費を賄うためにも「新型コロナウイルス検体採取料」を新設してください。
以 上