[コロナ禍での診療を考える]⑧コロナ禍での当院の対応

公開日 2020年12月23日

コロナ禍での診療を考える⑧ コロナ禍での当院の対応

おその整形外科 於曽能 正博

 COVID―19第1波襲来時、当院では11年前の新型インフル襲来時に準備するも使用しなかった受付の厚手ビニールカーテンおよびPPE(マスク・手袋・ガウン・ヘアキャップ・ゴーグル)を引っ張り出し、職員にも装着させた。マスク・消毒薬・ガウンはすぐになくなりそうになったが、幸運にもいろいろな“つて”を利用して調達できた。フェイスシールドも手配が早かったせいかAmazonから職員の分も含め調達できた。第1波が落ち着いてからは職員とともにマスク・フェイスシールドのみで仕事をしている。N95マスクやフード付き防護衣は今のところ使わずに済んでいる。

 さすがに4・5月は患者数が減り厳しかったが、院長・職員一丸となって来院した患者さんに時間をかけた丁寧な説明を行い、診療の終わった患者さんにも「もう少しゆっくりしていって」と声をかけ滞在時間をできるだけ延ばした。患者さんの心理は微妙で、ガラガラであっても(特に今年は)混んでいても来院意欲を削いでしまう。狙い通り「あそこには、このご時世なのにいつも人がいる」という評判になったらしい。この作戦は院長・職員にも「患者さんがあまり減少せずに仕事をしている」という錯覚を起こさせ、不安感の減少に寄与した。

 幸いにして当院は換気が可能なので積極的に行っている。扇風機・サーキュレーター・冷暖房を増設し、1階の玄関・通用口から外気を入れ1方向の空気の流れを作り、2階リハビリ室の窓・非常口から排気するよう工夫した。換気をしにくいX線撮影室・トイレ等には、HEPAフィルター・紫外線照射機能を持つ空気清浄機を置いた。もちろんリハビリスタッフには「患者さんの顔より下で働かない。顔は相対せず斜めに向かい合って話をする」などを徹底させている。

 今後いつまでCOVID―19から逃れながら診療を続けられるか分からないが、職員に「一緒に最後まで頑張ろうね」と言っている。

(『東京保険医新聞』2020年12月25日号掲載)