新型コロナワクチン 最新情報を解説

公開日 2021年04月10日

講師の長谷川氏は「ワクチンは新型コロナ対策には必須の武器とな
るが副反応もあり、接種・非接種それぞれのリスクとベネフィットを考慮す
る必要がある」と述べた(3月9日、協会セミナールーム)
 

 

 研究部は3月9日、第4回新型コロナウイルス感染症研究会をWeb併用で開催し、会場に36人、Zoomで95人が参加した。

 講師には長谷川秀樹氏(国立感染症研究所・インフルエンザウイルス研究センター長)を招いた。「新型コロナ感染症ワクチンの特徴と留意点」と題し、現在判明していることや使用の際に注意すべき点について講演した。

 以下、会員の参加記を紹介する。

参加記 仕組み、効果、副反応、留意点―最新のワクチン情報を網羅

権守 光夫(ゆたか診療所・品川区)

 日本で開始されたファイザー社・ビオンテック社のワクチンは、コロナウイルスが肺上皮細胞につくスパイク(S)蛋白を作る設計図になるmessengerRNAを脂質の膜にくるみ、注射された筋肉内の細胞でそのmRNAがS蛋白を作り、それに対してT細胞免疫や液性免疫が作られます。mRNAワクチンは、10年前からHIVや狂犬病などで臨床試験が行われていたため、今回のワクチンにつながりました。

 3週間後に2回目を打ちますが、その1週間後にはS蛋白への抗体価が上がり、予防効果が出てきます。3カ月後でも抗体価は維持されますが、いつまで続くかは不明です。もし抗体価が下がっても、次回感染時にはすぐ抗体ができることも想定され、抗体価の有効期間は今後の課題です。

 疼痛・倦怠感などの副反応は表1のように多く、しかも2回目の方が強く出ます。アナフィラキシーは20万回に1回の頻度ですが、40歳前後の女性が8割で、一部化粧品との関連が疑われているそうです。

 モデルナ社のワクチンはファイザー社と同じ原理ですがアストラゼネカ社のは人に無害なチンパンジーアデノウイルスをベクター(乗り物)として注射します。

 10日のニュースで、日本でも変異ウイルスが広がっている旨報道されました。イギリスでの変異型と同じで、DNAの1カ所の変異で、感染力は強めですが、ワクチンの効果は同じです。ただし、南アフリカとブラジルの変異型は、2カ所での変異のため、ワクチンの有効性は60%です。
 品川区では、3月中旬から大学病院でワクチン接種が始まり、その後に我々医療関係者に回ってきますので、表2の留意が必要です。

【付記】3月11日、川崎市で南アフリカと同型の変異ウイルスも検出されました。

(『東京保険医新聞』2021年3月25日号掲載)