[要望書]都立・公社病院の独立行政法人化を中止してください

公開日 2021年05月06日

2021年4月8日

東京都知事 小池 百合子 殿
 

東京保険医協会
病院有床部長 水山 和之

都立・公社病院の独立行政法人化を中止してください

 

 

 貴職におかれましては、東京都民の医療・福祉の向上に尽力されていることに敬意を表します。

 さて、首都圏1都3県の緊急事態宣言が3月21日に解除されましたが、新規感染者数は高止まりしており、医療機関は依然として解除前同様の体制を取り続けなければなりません。

 地域医療は、公的・公立病院、民間医療機関で機能分化をはかり、それぞれの役割を果たすことで成り立っています。都立・公社病院が民間医療機関では行えない行政的医療を担うことで、民間医療機関は安心して診療を行うことが可能となります。また東京都には不採算医療等、民間医療機関では担えない医療を確保する義務があります。

 コロナ禍では都立・公社病院を中心に多数のコロナ陽性の重症患者を受け入れる一方で、がんや手術が必要な患者の受け入れが困難な状況となっています。民間病院が対応することでなんとか対応していますが、病床数は足りず、手術の延期など不安感がひろがっています。公的医療機関の拡充がますます求められていますが、政府は病床削減につながる「地域医療構想」の継続を主張しました。

 このような中、東京都は地域医療で重要な役割を担う都立・公社病院を経済的な効率性と独立採算性が求められる独立行政法人とする方針を掲げています。独法化により現在と同じような機能水準、不採算医療が継続される保証はなく、地域医療を崩壊させる恐れがあります。

 独法化により、医療従事者は独立行政法人の各病院毎に採用されることになります。都立病院、公社病院では、東京都の職員もしくは公社病院の職員として採用・育成されるため、大規模災害やパンデミック等の発生時には、即座に役割分担の調整や状況に応じて熟練した職員の配置転換による緊急対応が可能ですが、独法化後は困難な事態となることが懸念されます。

 この方針通りに病床削減や都立公社病院の独立行政法人化が進めば、都民医療に大きな損害を与えることとなります。

 東京都民のいのちや健康を守るために、下記項目を実現するよう強く要望いたします。

 

[要望項目]

一、新型コロナウイルス感染拡大により東京都の医療体制に重要な役割を果たし、災害医療や感染症医療等、不採算となる行政医療に責任を持つ都立・公社病院の独立行政法人化は中止していただきたいこと。

 

一、医療の効率化、病床削減につながる地域医療構想は、白紙撤回するよう国へ要望していただきたいこと。

 

以 上


【要望書】都立・公社病院の独立行政法人化を中止してください[PDF:70.1KB]