緊急集会 窓口負担2倍化 許さない

公開日 2021年05月13日

 

  
  医療現場の厳しい状況と、社会保障制度を守るための取り組みについて報告する全国の協会・医会役員
 

 4月8日、全国保険医団体連合会は、75歳以上の約370万人を対象に医療費の窓口一部負担を1割から2割に引き上げる医療制度改革関連法案「全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」が国会で審議入りしたことを受け、関係団体と共催で緊急アピール集会を国会前で開催した。東京協会からは5人が参加した。

2割負担の対象 際限なく広がる恐れ

 高齢者は収入が減少する一方で、疾患を多く抱えざるを得ず、多くの高齢者には負担増に耐えられる経済的余裕はない。自己負担が2倍となれば受診抑制が加速し、疾病や健康状態のいっそうの悪化が危惧される。負担増の導入時期とされている2022年秋頃にコロナ禍が収束している保証もない。

 本法案のもうひとつの問題は、2割負担の対象となる所得範囲について、今後国会審議を経ずに政令で定めることを可能としている点だ。

 現在、東京は36万9千人、75歳以上の23・1%が2割化の対象となっているが、ひとたび法案が成立すれば、時の政府の判断で2割負担の対象者が際限なく広がりかねない。また、同法案には国保料(税)について、自治体が独自に行っている一般会計からの国保会計への法定外繰り入れを中止し、値上げにつなげる仕組みも盛り込まれている。

反対の世論を広げよう

 住江憲勇保団連会長は挨拶で「コロナ禍で国民が厳しい状況に置かれている中で、何故さらなる困難に陥れるような法案を審議しようというのか。集会を通して反対の世論を広げていこう」と呼びかけた。

 集会では、かけつけた国会議員の挨拶の他、関連団体の代表者がスピーチを行い、高齢者や医療機関の置かれた厳しい現状を訴えた。日本年金者組合の田中論氏は、「高齢者の多くは複数の疾患を抱えており、年間医療費10万円を超える人も多い。窓口負担が2倍になったらとてもやっていけない、などの意見が書かれた2倍化中止を求めるハガキが毎月500通も寄せられている。まさしく私達の生活がかかっている問題だ」と訴えた。

 同日、ツイッター上でも「#医療費2倍化とめる国会」のハッシュタグを用いたツイッターデモが行われ、会場ではツイッターに寄せられたメッセージが紹介された。

(『東京保険医新聞』2021年4月25日号掲載)