国会行動 「コロナ対策」最優先を

公開日 2021年06月11日

松尾 明弘 議員(衆・立憲/中央)
笠井 亮 議員(衆・共産/中央)
山添 拓  議員(参・共産/右)

 
 協会は4月22日、国会議員要請を行い、須田昭夫会長、細田悟理事、水山和之理事が参加した。

 ①デジタル改革関連法案の慎重な審議、②75歳以上の医療費窓口負担2割化の撤回、③病床削減ありきの地域医療構想の見直し、④福島第一原発汚染水を海洋放出する決定の撤回、⑤国民のいのちと健康を最優先し、東京五輪開催の再考―の5点を要望した。

 当日は、松尾明弘(衆・立憲)、笠井亮(衆・共産)、山添拓(参・共産)各議員本人と懇談したほか、伊藤俊輔(衆・立憲)、末松義規(衆・立憲)、宮本徹(衆・共産)、川田龍平(参・立憲)、田村智子(参・共産)、小池晃(参・共産)、吉良よし子(参・共産)各議員秘書と面談した。

デジタル改革関連法案 同意なき個人情報利活用

 4月14日から参議院で審議されている「デジタル改革関連法案」は、マイナンバーを活用し、国保など自治体の17業務、医療情報、預貯金口座情報など、様々な個人情報データの一元管理を目的としている。

 集めた個人情報について、自治体独自の個人情報保護措置よりも法律が定める共通ルールが優先されるほか、本人の同意なしに個人情報を目的外使用・提供することが行政機関に認められているなど、個人情報の「保護」より「収集」と「利用」が優先されており、憲法第13条が保障するプライバシー権(自己情報コントロール権を含め)を侵害する危険性が指摘されている。実際、審議の中で、米軍横田基地訴訟の原告団や国立大学の授業料免除者等の情報が利活用の対象にされていたことが明らかになっている。

 議員からは「今、デジタル庁をつくるのは、コロナ対応で忙しい自治体にさらなる負担を課すことになる」「法案の目的は、監視社会化と、個人情報の利活用だ。国民の理解と合意のないまま進めてはならない」等の意見が出た。

都立・公社病院の独法化はコロナ対策に逆行

 病床削減を促進するための医療機関に対する給付金制度法制化を含む、医療法等改定案が16日から参議院で審議されている。コロナ禍で医療提供体制の脆弱さが明らかとなった中、公立・公的病院の再編統合、高度急性期病床20万床削減を狙う地域医療構想は、医療提供体制をさらに脆弱化するため、抜本的な見直しが必要である。 

 東京都は都立・公社病院を独法化する方針を決定しているが、都立病院は精神科医療、感染症医療、災害医療、小児・周産期医療などの多くの不採算医療を支えており、コロナ禍で多くの重症患者の受入れ先となっている。病床削減を止め、公立・公的病院と医療提供体制を強化・充実させる施策に取り組む必要がある。

 議員からは「大阪からは、コロナ患者が入院できず、在宅で酸素吸入をしている等、悲惨な現場の状況を聞いている。大阪の窮状は府立病院の統廃合を進めてきたことが原因だ。都立・公社病院の独法化はコロナ対策に逆行している。大阪の二の舞になってはならない」「民間に頼る医療体制では、急な感染症や地震等の災害に対応する余力がなくなってしまう。新型コロナを含め、災害対策の病床は公的に確保すべきだ」などの意見が出た。

 その他、「大阪で新型コロナ感染拡大のきざしが見えていた段階で、東京の緊急事態宣言を解除したことについて、検証と反省が必要だ」「自粛を要請するばかりで、PCR検査体制の拡充などやるべきことをせず、対策が非科学的で一貫性に乏しいために、政府の言うことを国民は信用しなくなっている」「医療とは包括的なものであり、コロナ患者を受け入れた病院だけを補填対象にするのは、医療を分断することになる」「『東京に来ないで』と近隣の県に要求するのに五輪を開催するのは矛盾している。医療従事者にさらに負担を強いるため、開催は見送るべき」等、活発な意見が交わされた。

(『東京保険医新聞』2021年5月25日号掲載)

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