国会行動 国民のいのち 最優先に

公開日 2021年06月11日

伊藤 俊輔 議員(衆・立憲/右から2人目)
伊藤 俊輔 議員(衆・立憲/右から2人目)
宮本 徹 議員(衆・共産/右から2人目)

 
 協会は5月20日、国会議員要請を行い、須田昭夫会長、吉田章副会長、中村洋一副会長、細田悟理事が参加した。

 ①75歳以上の医療費窓口負担の2割化撤回、②IOCに対する東京オリンピック・パラリンピックの中止要請、③新型コロナワクチン接種体制の整備、④デジタル改革関連法の成立への抗議、⑤不要不急の国民投票法改定案についての5点を要望した。

 当日は、伊藤俊輔(衆・立憲)、松尾明弘(衆・立憲)、宮本徹(衆・共産)各議員および、川田龍平(参・立憲)、吉良よし子(参・共産)、小池晃(参・共産)、田村智子(参・共産)、山添拓(参・共産)、各議員秘書と面談した。

高齢者の健康悪化を招く窓口負担2割化は撤回を

 75歳以上の医療費窓口負担を2割化する法案が5月11日に衆議院を通過した。現在1割である窓口負担の2割化は、患者負担が2倍になるということであり、複数の診療科を受診することが多い後期高齢者にとって、必要な医療を受けられなくなる状況が懸念される。

 新型コロナウイルス感染症に限らず、患者のQOLの向上、維持のためにも疾病を早期発見・早期治療することは大切である。国民皆保険を守るためにも、2割化導入に最後まで反対していく。

 議員からは、「高齢者は有病率が高いため、必然的に様々な科に受診する場合が多く、窓口負担増は受診控えにつながる。新型コロナウイルス感染症が拡大している今、やるべきことではない」「法案が成立したとしても、来るべき衆議院選挙で政権交代が実現すれば廃止することも可能だ」等の意見が出た。

国民の生命を危険にさらす東京五輪は開催中止を

 東京オリンピック・パラリンピックの開催は約9万人に及ぶ大量の人的移動を伴うことから、新型コロナウイルス変異株のさらなる流入、拡大につながることが懸念され、国民のいのちと健康を危険にさらすことになる。

 また、夏場での開催では熱中症の多発も予想され、発熱患者についてはコロナ疑い患者として対応する必要があるため、医療機関の負担がさらに増える。選手・関係者用に病床を確保するとなれば、その分国民が使える病床は減ることになる。

 協会が5月14日に発出した、オリンピック・パラリンピックの中止をIOCに打診するよう政府と東京都に求める意見書は、CNN、ロイター通信やワシントンポスト紙など海外メディアで次々と取り上げられている。世界的な世論は開催中止であることは明白だ。

 議員からは、「海外は新型コロナウイルス感染症が拡大する日本でオリンピックを開催すべきではないと考えている。新型コロナウイルス感染症の収束に専念すべきだ」「東京オリンピック・パラリンピック開催への疑問や反対の声が圧倒的に多いにもかかわらず中止の動きはない。人命を軽視してまで開催することではない。選手はチームで動いており、クラスターが出たら病床不足を招くのは明らかだ」等の意見が出た。

新型コロナワクチン接種システム簡略化が必要

 新型コロナワクチン接種が本格的に開始された。しかし、ワクチンの供給不足、医師会未加入の医療機関に情報が出回らなかったことやV―SYS(ワクチン接種円滑化システム)の導入が必須とされたことにより対応医療機関が制限されたこと、煩雑な入力事項の設定による負担等が重なり、接種希望者に対して迅速な接種ができていない問題が生じている。

 またワクチンに関する情報提供も十分ではない。予防接種後の副反応や有害事象についての報告基準を明確化し、国が率先して情報収集・提供を行うことが必要である。

 議員からは、「新型コロナウイルスワクチン接種に際してV―SYSを導入しているが、手間がかかる上に効率化できていない。システムを一本化し、簡素化することで早急にワクチンを普及するよう国会でも要求している」「一刻も早くワクチン接種を進めなくてはならないにもかかわらず、予約の受付やV―SYSへの入力作業など手続きが煩雑で、現場の大きな負担となっている。簡略化できるよう見直しが必要だ」「公共交通機関に勤務する人、救急救命士といったコロナ禍でも勤務することが求められる職種に対し、ワクチン接種が進んでいないのはおかしい。接種の優先順位や補助金など自治体に選択を任せたことで地域差が生じ、結果的に本来必要なところには届かない構図が生まれている」等の意見が出され、問題への強い関心がうかがえた。

 その他、「デジタル改革関連法には、本人の同意なしに個人情報が利活用される問題がある」「コロナ対応の失策を憲法改定に結び付けようとする動きを許してはならない」等、活発な意見交換を行った。

(『東京保険医新聞』2021年6月5日号掲載)

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