国会行動 75歳以上 医療費窓口負担 2倍化ゆるさない

公開日 2021年07月08日

伊藤 俊輔 議員(衆・立憲/左から2人目)
松尾 明弘 議員(衆・立憲/右から2人目)
宮本 徹 議員(衆・共産/左から2人目)

 
 協会は6月3日、国会議員要請を行い、須田昭夫会長、細田悟理事、水山和之理事が参加した。

 ①75歳以上の医療費窓口負担の2割化の撤回、②東京オリンピック・パラリンピックのIOCへの中止要請、③新型コロナワクチン接種体制の拡充、④無症状者への新型コロナPCR検査体制拡充の4点を要望した。

 当日は、伊藤俊輔(衆・立憲)、松尾明弘(衆・立憲)、宮本 徹(衆・共産)各議員本人および、末松義規(衆・立憲)、笠井亮(衆・共産)、川田龍平(参・立憲)、足立信也(参・国民)、吉良よし子(参・共産)、小池晃(参・共産)、田村智子(参・共産)各議員秘書と面談した。

協会は抗議声明を発出 窓口負担2倍化は撤回を

 医療費窓口負担の2割化は、6月4日に参議院本会議で可決、成立した。高齢者は複数の診療科を受診することも多いため、患者負担が2倍になれば、必要な医療を受けられなくなることが強く懸念される。協会は同日、首相、厚労相、財務相宛に抗議声明を発出した(左参照)。全国の協会・医会も取り組んだ「2割化撤回」を求める請願署名は100万筆を超えた。政府は国民の声を真摯に受け止め、2割化を撤回するべきだ。

 議員からは、「対象となっている年収200万円は決して高収入ではない。コロナ禍での受診抑制にさらに拍車をかける負担増を強いるべきではない」「国民皆保険が形骸化してしまう」「撤回をめざして、来たるべき衆議院選挙で争点にする必要がある」等の意見が出た。

東京五輪 現状での開催強行は「ありえない」

 東京オリンピック開催は、変異株のさらなる流入、拡大や医療体制の逼迫につながることが懸念される。世論調査でも「五輪開催よりも新型コロナ対策を優先すべきだ」との意見が多数であり、誰もが安全・安心を確信できる状況にはほど遠い。

 議員からは、「パンデミックでの開催はありえないが、強行開催されるのであれば少しでも安全に実施できるよう検討するしかない」「五輪が政権維持、また総選挙に臨むための道具にされている」等の意見が出た。

コロナワクチン財政支援「接種回数」要件廃止を

 医療機関での新型コロナワクチン個別接種を促進するために、「週100回以上×4週間以上」や「1日50回以上」等の接種回数を要件とする財政支援策が示された。しかし、予約対応、患者への説明、接種後の経過観察、副反応時の対応などを考えると、日常診療と並行してこれほどの接種を行うのは難しい。

 一定期間における接種回数で財政支援の対象を区別するのではなく、①ワクチン接種に協力する全ての医療機関への財政支援、②接種システムの簡素化、③接種医療機関の取りまとめに関する自治体間での格差解消などで接種体制を拡充するべきだ。

 議員からは、「ワクチンは接種の前後にも様々な対応が生じることを考慮し、全ての接種医療機関に補助をするべきだ」「自治体によっては、医師会未加入の医療機関が接種医療機関に登録できない現状を改善すべきだ」「今後若年層へのコロナワクチン接種が進めば副反応の問題がより顕在化する可能性がある。有害事象については幅広く補償する体制が必要だ」等の意見が出た。

感染抑え込みには検査体制拡充は必須

 感染力が強く重症化しやすい変異株が出現する中、ワクチン接種とともに、PCR検査体制の拡充が必要だ。感染を抑え込んでいる国では日常的に検査を受けられる体制が整えられているが、日本のPCR検査数は世界210カ国中144位にとどまっている(5月末時点)。健康診断にPCR検査を位置づける等、一般の人が気軽に受けられるよう、行政検査の対象者および検査体制の拡充を図るべきだ。

 議員からは「現在、抑え込みに成功している国を見れば、検査と隔離体制の充実が必須であることは明らかだ。現在に至ってもPCR検査の拡充に消極的な政府の姿勢は理解しがたい」「国はワクチンの有効性を過信しているのではないか。流行地域を絞り込み、きめ細やかな対応を行うためにはPCR検査を拡充することが不可欠だ」等の意見が出た。

 その他、昼には保団連主催で国会内集会が開催された。国会議員や各高齢者団体代表がスピーチし、「医療費窓口負担2倍化を許さない」の声を上げた。

(『東京保険医新聞』2021年6月15日号掲載)

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