公開日 2021年08月19日
2021年8月10日
厚生労働大臣 田村 憲久 殿
中医協委員 各位
東京保険医協会
会長 須田 昭夫
審査指導対策部長 浜野 博
2022年度診療報酬改定等に向けた要望書
新型コロナウイルス感染症の拡大により医療経営は危機的な状況となり、各種補助金、融資制度、診療報酬の臨時的取扱い等、あらゆる手立てを使って、現状の地域医療体制を成り立たせている状況です。2002年度の本格的なマイナス改定以降、初・再診料は低く抑えられてきました。さらに、医療機関にとって常に求められる感染予防に対する費用が診療報酬に含まれていないことも浮き彫りとなりました。
中医協総会では、新型コロナウイルス対策の特例措置として認められてきた初診からのオンライン診療の恒久化を検討しています。現行のオンライン診療は対面診療の補完として症例を限定し、施設基準を満たした医療機関において認められています。初診からのオンライン診療はコロナ禍において、無診察診療を禁止する医師法違反を、超法規的措置として容認していますが、コロナ禍に乗じて恒久化するべきではありません。
診療報酬改定においては、改定内容の周知が不十分なまま隔年の4月に実施され、そのあとから膨大な疑義解釈、算定方法の取扱い、修正などが示されるということを毎回繰り返しており、その度に医療機関等を混乱に陥れています。我々は、告示から実施までの十分な周知期間を確保するよう再三にわたり要望してまいりました。中医協総会の資料では2022年度改定も従来と同様のスケジュールで行うことが示されました。次期改定時も新型コロナウイルス感染症の収束は難しいことが予想され、コロナ禍の最前線で働く医療機関では短期間に改定内容を把握する余裕はなく、診療に大きな支障をきたすことは明らかです。
低医療費政策とコロナ禍で疲弊した医療提供体制を立て直すために、2022年度診療報酬改定等に向けて以下の項目について要望いたします。
記
一、初・再診料を医師の技術料や医院経営を安定させるための必要なコストを含んだ適正な評価とし、少なくとも10%以上引き上げること。
一、当面、新型コロナウイルス感染の収束が見通せないため、外来等/入院・感染症対策実施加算、乳幼児感染予防策加算は10月以降も延長する必要がある。感染予防策は医療機関で日常的に対応が求められるものであるため、2022年度診療報酬改定では恒久化して改定に盛り込むこと。
一、初診からのオンライン診療の恒久化は、危険があるために行わないこと。
一、中医協で示された診療報酬次期改定に向けたスケジュールを変更して、少なくとも告示から実施までの周知期間を3カ月確保すること。
以 上