公開日 2021年11月24日
医科歯科連携委員会は11月3日、東京歯科保険医協会と合同で医科歯科医療安全講習会を開催し、会場とZoom合わせて157人が参加した。
馬場安彦東京歯科協会副会長のあいさつに続いて、岡部信彦氏(川崎市健康安全研究所所長)が、「新型コロナウイルス感染症(COVID―19)そしてインフルエンザ等その他の感染症の動向」と題し講演した。
講師の岡部信彦氏はCOVID-19の第6波やインフルエンザ、RS ウイルス等の感染症の流行への対策について解説した(11月3日、セミナールーム)
感染者が減少した理由
日本におけるCOVID―19感染者数の急速な減少について、岡部氏は、新型コロナワクチンの普及、緊急事態宣言等による行動変容、ウイルスの変化等が要因として考え得ると述べた。
緊急事態宣言を出す意味は、重症者への適切な医療、看取りも含めた尊厳ある医療、通常医療が維持できるかどうかだ。医療従事者、行政、国民の間で危機感に差があったが、感染者が急増した第5波においては、人々のなかでリスク認識の共有ができたのではないか。
標準予防策の徹底を
COVID―19をはじめとする感染症に対する予防策には、医薬品によらない介入(Non-Pharmaceutical Intervention)とワクチンや治療薬等、医薬品による介入がある。
前者については、密閉、密集、密接を避ける「3密回避」が、WHOでも3C(Avoid the Three Cs)として奨励されている。国民への新型コロナワクチン接種が進んでいるが、引き続き、手洗い・手指衛生をはじめとする標準予防策を遵守する重要性を強調した(右表)。また、医療機関のみならず、高齢者施設、教育機関等でも十分な感染予防策を実施することを推奨した。
Withコロナに向けて
岡部氏は、COVID―19の第6波が起こる可能性を否定できないとして、①急性期医療、重症者医療、高齢者医療を含めた医療体制の整備、②保健所、地方衛生研究所等、公衆衛生を担う体制の整備・拡充、③COVID―19の早期診断につながるようPCR検査、抗原検査、抗体検査の拡充が必要と述べた。
また、2021年は例年に比べ、RSウイルス感染症が増加した。標準予防策をはじめとした感染予防策を実施し、COVID―19以外の感染症の動向にも注意を払いながら診療を行うことが大切だとまとめた。
参加者からは、新型コロナワクチン接種を中心に多数の質問が寄せられ、活発な質疑応答が行われた。
最後に、須田昭夫会長が「今日の学びを日々の診療に活かしていきたい」とあいさつし、閉会した。
左から申偉秀研究部長、須田昭夫会長、岡部信彦氏、川戸二三江東京歯科協会副会長
(『東京保険医新聞』2021年11月15日号掲載)