開業医実態意識基礎調査① 増える長時間労働

公開日 2022年03月02日

 およそ4年毎に協会・保団連が協力して実施している開業医実態意識基礎調査の結果がまとまった。協会に「開業医」として登録されている都内の無床診療所・有床診療所の会員4177人に調査票を送付し、10月28日までに1155人から回答を得た(回収率27・7%)。

 今号からシリーズで調査結果を分析・報告する。

「11時間以上労働」回答者の約2割

 1日の実労働時間(図1)は「11時間以上」との回答が18・4%となった。

 「9~11時間未満」の28・8%と合計すると「9時間以上」が約半数を占めた。「5~7時間未満」は9・9%、「7~9時間未満」は34・3%だった。

 2012年調査では、「7~9時間未満」が最多の36・0%、「9~11時間未満」が25・9%、「11時間以上」が15・3%であった。

 「9時間以上」働いているとの回答者割合が9年間で6・0%増加し、逆に「5~9時間未満」働いているとの回答者割合は7・8%減少している。

 12年調査との比較からは、長時間労働が増えていることが読み取れる。

開業医の約3割が抱える健康問題・心身の疲労

 1週間の休日日数(図2)は「1日未満」が18・3%、「1~2日未満」が52・2%で過半数を占め、約7割の回答者が休日を週2日確保できていない。「2~3日未満」は23・7%だった。

 健康状態(図3)では「健康に問題はあるが診療に影響ない」が24・3%、「健康問題で診療に多少影響がある」が5・4%で、3割が何らかの健康問題を抱えていることが明らかになった。

 日常的な心身の疲労(図4)については「疲れが翌日以降に残ることが多い」が23・7%、「いつも疲れている」が9・4%で、3割を超える回答者が心身の疲労を抱えている。「疲れても翌日までには回復する」との回答は52・7%だった。

 長時間労働の傾向が強まり、慢性的な心身の疲労と健康問題を抱えている回答者は3割にのぼった。また週休2日を確保できているのは回答者の3割未満に留まっている。コロナ禍と相まって、開業医の厳しい労働実態が調査結果から明らかになった。


(『東京保険医新聞』2022年2月5日号掲載)