【要望書】新設の外来感染対策向上加算等届出に係る柔軟な対応を求める緊急要望書

公開日 2022年04月20日

2022年4月17日

厚生労働大臣  後藤 茂之 殿

 

東京保険医協会 

           会   長  須田 昭夫

研究部長      申 偉秀

新設の外来感染対策向上加算等届出に係る柔軟な対応を求める緊急要望書

 

 

 新型コロナウイルス感染症への対応に対し、心からの敬意を表します。
 

 今般、2022年度診療報酬改定が実施されました。今回の改定では、基本診療料等に①外来感染対策向上加算(月1回、6点)、②連携強化加算(月1回、3点)および③サーベイランス強化加算(月1回、1点)が新設されました。いずれも算定するためには事前の届出が必要になりますが、算定要件の内容を確認すると、新型コロナウイルス感染症をはじめ新興・再興感染症の診断と治療への、かかりつけ医の積極的な参画と協力を国が要請している内容となっていることが明白です。
 

 しかし、①を届け出るための施設基準は、「告示」で3項目、「通知」で17項目が示されており、要件を満たすための準備作業は非常に煩雑です。ひとつの加算点数に対してこれだけ多くの算定要件が設けられたのは前代未聞であって、感染症対策に協力しようとする医療機関の意欲を著しく低下させるものであり、目的達成を阻むがごとくの算定基準に抗議いたします。さらに上記②、③の加算を算定するためには①の加算を届け出ることが前提となっていることも本来の目的を阻害します。
 

 今次の算定要件の中核となる、新興感染症等の発生時の発熱外来の設置要件は、実際には診療・検査医療機関しか届け出ることができない反面、診療・検査医療機関に該当しても、専任の院内感染管理者を配置し、連携医療機関とのカンファレンス等の参加要件など過重な要件が義務づけられています。さらに、届出の際に求められる添付書類には院内感染対策指針が求められ、その内容についてはひな形もなく要件の列挙のみのため、現場の医療機関では大変な混乱を来しています。
 

 政府・厚労省が今次の診療報酬改定で、かかりつけ医に新興・再興感染症患者の診断と治療へいっそうの協力を要請するのであれば、まずは多くの医療機関が簡便かつ迅速に届け出せるようにすることが肝要と考えます。新設された外来感染対策向上加算等に係る施設基準要件の多くが実態として未整備であり、整備に時間を要することに鑑み、下記項目を速やかに実現されるよう緊急に要望します。

 

一、新型コロナウイルス感染症をはじめ新興・再興感染症の診断と治療への、発熱外来を実施している、していないに関わらず、多くのかかりつけ医に積極的な参画と協力を促すため、新設された①外来感染対策向上加算、②連携強化加算および③サーベイランス強化加算の届出については、当面の間すべての施設基準を満たすものとみなすなど柔軟な対応をしてください。

以 上

外来感染対策向上加算等届出に係る柔軟な対応を求める緊急要望書[PDF:116KB]