改定点数 不合理是正を

公開日 2022年05月13日

 
 外来感染対策向上加算の届出に際しては、届出書と添付書類の他にも、組織や業務指針、手順書等の添付、院内感染対策に関する院内掲示など、膨大な量の書類作成が求められる(現在、協会HP 会員限定ページにひな形を掲載中)

 新型コロナウイルス感染症の拡大で、日本の低医療費政策、保健所の統廃合等、この間政府が進めてきた社会保障を削減する政策の誤りが浮き彫りとなった。感染拡大の収束が見通せない中での2022年4月診療報酬改定で、本来であれば大幅な引き上げ・改善が求められるところ、改定率はネットで0・94%の引き下げとなった。

後出しで覆された解釈 算定に高いハードル

 3月4日付の告示・通知では不明瞭な取扱いや誤植が散見され、3月31日深夜に公表された疑義解釈や一部訂正の事務連絡で算定要件や解釈が覆された。その1つが新設の「サーベイランス強化加算」である。

 「サーベイランス強化加算」は、当初1カ月の実績は不要と通知されていたにもかかわらず、3月31日の事務連絡でその文言を削除し、180度解釈を変えて実績が必要となった。しかし、通知で示したサーベイランス登録先の一つであるJ―SIPHEは無床診療所は参加できない状況だ。

 新設の「外来感染対策向上加算」はコロナ診療に対応している医療機関に限定し、保健所の公衆衛生機能を医療機関に課すものとなったが、多項目にわたる施設基準が示され、届出にあたっては院内感染対策の指針やマニュアルの添付が求められるなど、高いハードルが科された。

 回復期リハビリテーション病棟入院料の届出については、入院料1と5の組み合わせ区分が削除された。新たに回復期リハビリテーション病棟を届け出る場合は入院料5で届け出ることとされているため、既に入院料1の届出を行っている病院は入院料2等に格下げしてからでないと新規の病床を追加できなくなった。

窓口混乱の恐れも 協会は要望書を提出

 中医協で十分な議論を尽くさずに導入された「リフィル処方箋」については、医療費削減になるとの報道を受けて本来リフィルに適さない患者までもが希望し、医師がリフィル処方についての複雑な説明をしなくてならない。また、「電子的保健医療情報活用加算」では、マイナンバーカードで資格確認をすることで窓口負担が増加するため、患者の理解を得られず、窓口での混乱を招くことが非常に危惧される。

 新たな算定要件や施設基準要件について、関東信越厚生局東京事務所でも明確な回答ができない状況だ。前回改定では「小児科外来診療料」の届出が必要となり、施設基準の標榜科を巡って不受理とされる医療機関が続発した(※今年度から届出は不要)。届出の締め切りが再延長されるなど厚生局、医療機関とも大混乱をきたした。今回も要件が不明瞭な状況での届出に対し、後から不承認とされることがあってはならない。

 協会は、今次改定に強く抗議するとともに、医療現場でのこれ以上の混乱を回避するため、①新設項目や再届出が必要な項目の施設基準の締め切りを5月末までとすること、②実績が不可能な項目については実績不要とすること、③解釈が不明瞭な項目については請求通り支払うよう審査支払機関に徹底すること―を厚労省に要望している。不合理点などについて、ぜひ協会に連絡いただきたい。 

(『東京保険医新聞』2022年4月25日号掲載)