75歳以上10月から2割化実施 窓口負担 4パターンに

公開日 2022年08月05日

1割と2割の差額 3000円を上限に徴収

 10月に実施される一定所得者の後期高齢者の窓口負担2割化により、後期高齢者の窓口負担は1割、2割、3割の場合に分かれる(表1参照)。

 2割負担となる場合、激変緩和措置として、2025年9月30日まで、外来受診における1カ月の負担増加額を最大でも3000円とする措置が設けられた。激変緩和措置は、同一医療機関での受診については現物給付となるため、窓口で1割から2割の差額分を計算し、3000円を上限として徴収しなくてはならない。

 たとえば1割負担の負担額が5000円の人は2割負担により負担額が1万円となり差額の5000円のうち3000円を上限として1割負担の5000円に上乗せするため、窓口徴収額は8000円となる。差額が3000円に満たない場合はそのまま2割負担の額を徴収する(表2参照)。複数回受診で月の途中で差額が3000円を超えた場合、前回までの負担額と合わせて計算しなくてはならない。

複数の医療機関・薬局での超過額の取扱い

 複数の医療機関や調剤薬局での窓口負担は、申請によりこれらを合算して取り扱うこととなり、1カ月当たりの負担増加額3000円を超える分が高額療養費として、患者が事前登録した口座へ4カ月を目処として償還される。事前登録をしていない患者の場合は、広域連合から返金の対象となった際に申請書が送られてくる。

 後期高齢者の窓口負担は1割、2割、3割となる上、2割の中でも負担増加額の差額が3000円を超える人は1割負担プラス3000円という4パターンの負担額となる。

後期高齢者保険証は10月までに2回送付

 10月の2割負担化に伴い、後期高齢者の保険証は7月~10月までの間に2回対象者へ配布される。7月に送付される有効期限が8月1日~9月30日までの保険証(桃色)と、9月に送付される有効期限10月1日~2023年7月31日までの保険証(水色)だ。10月に負担割合が変更されるため再度更新しなくてはならず、無駄な予算が使われることとなる。

2割負担化を中止せよ

 10月からは大変煩雑な仕組みとなるため、理解に苦しむ患者への説明や9月まで有効の保険証を誤って持参する人への対応も含め、受付スタッフの負担は計り知れない。

 協会・保団連では2割化中止を求める患者署名に取り組んでいる。受診抑制をもたらす2割負担化は廃止すること、2割負担化を直ちに廃止できない場合も上記のような煩雑な窓口の取扱いは中止するよう、参議院選挙で新たに当選した国会議員を含め、引き続き働きかけを強めていく。

(『東京保険医新聞』2022年7月25日号掲載)