発熱外来等における有症状者への抗原定性検査キット配布に係る緊急要望書

公開日 2022年08月15日

2022年8月9日

厚生労働大臣 後藤 茂之 殿
東京都知事  小池 百合子 殿

 東京保険医協会
         会長  須田 昭夫
研究部長 申 偉秀

発熱外来等における有症状者への抗原定性検査キット配布に係る緊急要望書

 新型コロナウイルス感染症急拡大に係る対策へのご尽力に敬意を表します。

 現在、感染症の第7波急拡大により全国の診療・検査医療機関では、症状の有無に関わらず、PCR検査・抗原検査の実施を求める患者の受診数や電話問い合わせが爆発的に増加し医療機関は逼迫しております。
 

 このような状況を改善する目的で、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は「都道府県への抗原定性検査キットの配布について」(2022年7月25日付)を発出して、厚生労働省が買い上げた抗原定性検査キット(以下、検査キット)を、都道府県に無償譲渡することを決めました。また配布先については、発熱外来に限らず、地域外来検査センターに加え薬局や公共施設等、都道府県が設置するキット配布センターからの郵送等、地域の実情に応じて適切に検討し対応することも示されました。
 

 これを受けて東京都は2022年7月29日、「発熱外来等における有症状者への抗原定性検査キットの配布について(協力依頼)」(4福保感事第1819号)を発出しました。通知では、「診療・検査医療機関全体が一丸となって対応していく」方針を示し、特にかかりつけ患者のみに対応している診療・検査医療機関や、診療のみ実施する診療・検査医療機関等においては、有症状者への検査キットの配布に積極的に協力することを要請しています。しかしこれでは、各々の地域での診療科の偏在を一切考慮しておらず、検査の実施やコロナ診療で既に手いっぱいの診療・検査医療機関に対してさらに負荷をかけ、地域の医療崩壊に拍車をかけることが懸念されます。

 こうした状況を早急に改善するため、以下につき解決くださいますよう要望します。
 

一、今般の軽症有症状者への検査キットの事前配布計画については、発熱患者対応で逼迫する診療・検査医療機関での配布をせず、行政HPを主体に、公共施設等を利活用して、年齢を制限なく配布するように取り扱いを変更してください。
 

一、診療・検査医療機関は、自院で陽性が判明した重症化リスクのある有症状者を早期に診断・治療(投薬または入院の手配等)することに注力できるようにしてください。
 

一、診療・検査医療機関において検査キットを配布する対象は、自院で陽性が判明した方の家族など濃厚接触者で無症状の方としてください。
 

一、検査キットの陽性者については「医療機関」・「陽性者登録センター」併対応を止め、陽性者登録センターでの一元対応とし、登録された方への診断・治療等必要な対応を行うための体制を東京都が速やかに構築し、都民へ分かりやすく情報提供すべきと考えます。また一人の陽性者を登録するのに20分前後かかる手間を救済してください。
 

一、東京都や自治体等が設置する無料PCR検査センターでは、検査の実施を求めて有症状者と無症状者が混在しているのが現状です。感染拡大を防止する観点から、有症状者については無料PCR検査センターには出向かないように行政の責任で速やかに周知してください。

以 上



新型コロナ感染症に係る検査キット配布に関する緊急要望書[PDF:73.3KB]