公開日 2022年09月26日
2022年9月13日
厚生労働大臣 加藤 勝信 殿
病院有床診部長 水山 和之
回復期リハビリテーション病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料の経過措置期間延長を求める緊急要望書
新型コロナウイルス感染症への対応に対し、心からの敬意を表します。
現在までに流行している第6波から第7波にかけて、新型コロナウイルス感染症のみならず、心・脳血管疾患など通常医療の患者が急増しており、医療のひっ迫が継続しています。一方で、2022年4月に実施された診療報酬改定では、入院料の中でも特に①回復期リハビリテーション病棟入院料、②地域包括ケア病棟入院料に在宅復帰率や地域包括ケアの「実績要件」などの施設基準が厳格化されました。2022年10月(一部2023年1月)の経過措置が設けられているものの、多くの病院にて実質大幅なマイナス改定の恐れがあります。
当会は今次改定が医療機関へ与える影響および課題を明らかにするため、当会会員の回復期リハビリテーション病棟入院料届出病院・地域包括ケア病棟入院料届出病院にアンケート調査を行い、以下の課題が明らかとなりました。
① 回復期リハビリテーション病棟入院料の新規入院患者に占める重症患者割合が引き上
げられたため、重症要件に見合う患者を受け入れるための調整作業に追われていること、重症要件を満たす患者を優先的に受け入れざるを得ないこと。
② 地域包括ケア病棟入院料の施設基準の厳格化、新たな要件の追加により、地域包括ケ
ア病棟入院料届出病院の40%が減算見込みであること、特に、入退院支援に関する要件、医療法上の病床種別による要件、地域包括ケアの「実績要件」引き上げが届出病院の障壁となっていること。
③ アンケート回答病院の37%が公的融資制度に頼っており、クラスターなどによる減収
に加えて、借入金の返済の資金繰りに苦慮する例も少なくなく、先行きが見通せない不
安定な状態であること。
地域医療は急性期医療だけでは成り立たず、適切な医療連携によるリハビリテーションが欠かせませんが、入院に関しては新型コロナウイルス感染症患者に対する診療報酬しか特例措置がありません。
今回の調査では、10月の経過措置の終了により、心・脳血管疾患など通常医療の疾患の受け入れの多くを担っている回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟において大きな減収が避けられない状況が明らかとなりました。受け入れ先のない医療難民すら発生しかねません。地域医療の脆弱性が拡大する中で、今冬はコロナ感染症とインフルエンザ同時流行が予想され、種々の原因による死亡者数が本来想定した死亡者数を上回る超過死亡が増加する恐れがあります。
地域医療体制のひっ迫を回避し、国民の命を守るため、下記項目を緊急に要望します。
記
一、新型コロナウイルス感染症が収束し平時の医療提供体制に戻るまでは、2022年度診療報酬改定に係る回復期リハビリテーション病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料の経過措置期間を延長すること。
以 上
回復期リハビリテーション病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料の経過措置期間延長を求める緊急要望書[PDF:66.3KB]