中医協「オンライン資格確認義務化」を答申 協会が抗議声明

公開日 2022年09月16日

 8月10日に開かれた中医協総会で、2023年4月からオンライン資格確認システムの導入義務化の規定を療養担当規則に盛り込むこと、また現行の電子的保健医療情報活用加算を廃止し、新しい加算を創設することなどが答申された(表参照)。

 オンライン資格確認では、患者の診療情報(特定健診、薬剤情報)を医療機関が共有することが可能であり、政府はこのインフラを活用し、将来的にレセプト、電子カルテまで情報共有・利活用を拡大していくことを計画している。5月25日に開催された社会保障審議会医療保険部会で、①2023年4月から保険医療機関・薬局におけるシステム導入の原則義務化、②関連する財政措置の見直し、③2024年度中を目途に保険証発行の選択制導入、保険証の原則廃止が提案され、6月7日に閣議決定された骨太方針2022にも同様の内容が盛り込まれた。中医協答申は、こうした国の方針を追認したものである。

 義務化の例外は「紙レセプト」の請求が認められている医療機関のみとされているが、地域医療に支障を生じるなどやむを得ない場合の対応について、2022年末頃の導入状況を勘案し検討することとされた。

 また、システム改修費の補助について、骨太方針が閣議決定された2022年6月7日から2022年12月末までにカードリーダーを申し込み、2023年2月末までにシステム事業者との契約を結んだ医療機関等を対象に、補助上限の引き上げを行う方向である旨が報告された。6月6日以前にカードリーダーを申し込んだ医療機関との公平性の観点から問題があり、システム普及のために形振り構わない政府の姿勢が表れている。

 補助金や新しい加算点数については、正式な通知が出され次第、本紙で紹介する。

協会は抗議声明を発出 反対署名にご協力を

 オンライン資格確認システムには患者の医療情報の漏洩や同意を伴わない利活用につながる危険性がある。同時に導入や維持のために多額の経費が掛かり、医療現場に負荷がかかる。同システムの強引な義務化は性急で乱暴だ。協会は義務化撤回を求め、中医協答申に対し、8月16日に抗議声明を発出した。また、「オンライン資格確認システム導入義務化撤回を求める医師署名」に取り組んでいく。ぜひご協力いただきたい。

表 中医協答申の主な内容

①療養担当規則に以下の規定を盛り込む(2023年4月施行)
▽保険医療機関・薬局は、患者資格確認の際、患者がマイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認による確認を求めた場合は、オンライン資格確認によって受給資格の確認を行わなければならない。
▽現在「紙レセプト」での請求が認められている保険医療機関・薬局は義務化の例外とする。
▽例外を除く保険医療機関・薬局は、患者がマイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認による確認を求めた場合に対応できるよう必要な体制を整備しなければならない。
②現行の電子的保健医療情報活用加算を廃止し、新たに医療情報・システム基盤整備体制充実加算を設ける(2022年10月施行)

(『東京保険医新聞』2022年8月25日号掲載)