オンライン資格確認 露骨な誘導策

公開日 2022年10月07日

10月改定で加算を新設 療養担当規則の改定も

 厚生労働省は9月5日付の官報で告示・通知を発出し、2022年10月からの診療報酬改定の内容を明示した。主な内容は、①4月に新設されたばかりの「電子的保健医療情報活用加算」の廃止、②「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」の新設である。

 また保険医療機関および保険医療養担当規則を改定し、①保険医療機関および保険薬局は、患者の受給資格を確認する際、患者がマイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認を求めた場合は、オンライン資格確認によって受給資格の確認を行わなければならないこと、②患者がマイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認を求めた場合に対応できるよう、あらかじめ必要な体制を整備しなければならないこと、を義務付けた(2023年4月実施予定。紙レセプトで請求している医療機関は除外)。

 「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」は、オンライン資格確認を行う体制を有している医療機関を患者が保険証により受診した場合に加算1(4点)を、保険証機能を有するマイナンバーカードで情報を取得等した場合に加算2(2点)を初診料に加算できる(届出は不要)。

 つまり、マイナンバーカードではなく通常の保険証で患者が受診した場合は、一部負担金も高くなる仕組みだ。保険証廃止に向けた布石であり、露骨なオンライン資格確認への誘導策と言える。保険証による受診にペナルティを課す施策は患者から強い反発を受けることが予想される。

附帯意見で見直しに言及 義務化撤回運動にご協力を

 医療機関へのオンライン資格確認を実施する体制整備の義務化も、2023年4月での完全実施は変更される余地がある。中医協の附帯意見は、2022年12月末時点でのオンライン資格確認の導入状況について検証を行い、地域医療に支障を生じる等やむを得ない場合は、その期限も含め検討を行うとしている。

 今回の改定は、医療機関に膨大な負担を強いるものであると同時に、最も守らなければいけない患者個人の重要な医療情報に関わる内容である。国民的な議論を十分に尽くすことなく、強引に療養担当規則を改定することは許されない。

 東京保険医協会は保団連や全国の保険医協会・医会と共同して義務化撤回運動に取り組んでいく。ご協力をお願いしたい。

(『東京保険医新聞』2022年9月15日号掲載)